《めてみみ》地方と大都市の格差

2018/10/03 06:24 更新


 三越伊勢丹ホールディングスは伊勢丹相模原店と府中店、新潟三越の閉鎖を決めた。商圏人口の減少や近隣のSCなどとの競合で、売り上げ減に歯止めがかからなかった。同社は3月に伊勢丹松戸店も閉鎖した。

 百貨店はインバウンド(訪日外国人)需要の拡大や高額品の売り上げ増などで都心店は順調だが、地方・郊外店の苦戦が続く。三越伊勢丹以外の大手百貨店も地方・郊外の不採算店を相次ぎ、閉鎖している。地方・郊外百貨店の事業モデルが客の嗜好(しこう)や市場の変化に対応できていないことを示している。

 地方・郊外店の厳しさはSCやGMS(総合小売業)でも同様だ。パルコはここ数年で千葉と大津を閉鎖した。アトレはJR土浦駅の駅ビルをサイクリングリゾート施設に業態転換する。対象商圏だけでなく、近隣の大都市部の大型施設との競合激化やECの浸透などが大きな背景だ。

 20年の東京五輪・パラリンピックを控え、首都圏を中心に大都市中心部での大型開発が来年から加速する。大都市への人口と消費の集中が強まり、地方・郊外との格差がますます広がることが懸念される。

 近隣他施設や地元の商店街、行政などと連携し、街全体を盛り上げる地方・郊外のSCも増えてきた。地元の観光資源を街ぐるみで海外に売り込む施設もある。こうした動きの広がりに期待したい。



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