《めてみみ》本当にしたいこと

2018/07/24 06:20 更新


 百貨店にとってECは長年の課題だ。大手各社は20年前からネット販売に着手し、M&A(企業の合併・買収)を含めてビジネスモデルの構築に取り組んできた。EC売上高は2ケタ増が続くが、全社売上高に占める比率は1~2%に過ぎない。

 日本の百貨店はECで、実店舗と異なる客層を狙っていた。その結果が店舗と連携できず、新規客の獲得に至らなかった。顧客・商品データベース、情報通信システム、物流など事業基盤はバラバラで、一元管理が遅れた。ECは中元・歳暮に偏り、ここ数年は品揃えを見直して商品点数を拡大していた。

 しかし、「全てのカテゴリーをやるのは無理。専業大手と競合しては勝てない」(杉江俊彦三越伊勢丹社長)、「やみくもにアイテムを広げてきたが、百貨店の全アイテムをやっても難しい」(好本達也大丸松坂屋百貨店社長)と戦略の転換を迫られている。カテゴリー特化型へ転換し、強みの領域であるギフト、ビューティー、フーズなどに絞り込む。

 店舗、ECなどあらゆる接点で、一人ひとりの顧客のための品揃え、サービス、コミュニケーションを最適化する。デジタル化によって、できないことがなくなった。それだけに何をしたいかが改めて問われる。真に顧客を中心とした商品、販売サービスの仕組みに作り変えなければならない。



この記事に関連する記事