《めてみみ》変わる経済指標

2018/06/19 06:00 更新


 GDP(国内総生産)は、国内で生産された商品やサービスの付加価値の総計で、その国の国内の経済活動の規模や動向を総合的に示す指標のこと。GDPの伸び率が成長率に相当すると学校で習った。

 米国のあるエコノミストが、そのGDPはもはや経済を判断するのに適切な指標ではない、という趣旨の論文を出したことがある。理由はデジタル化の進展だ。ネットで何かを検索することは誰でも普通にやっているが、多くは無料だ。

 早く目的地にたどり着く道順をあらかじめ調べたとすると、渋滞につかまらないルートが知れ、移動手段に使われる燃料も節約でき、時間が有効に使え、生産性は高まる。だが、検索自体が付加価値を生み出す行為ではないので、GDPに計上されない。

 別の研究者が行った研究では、ネットで無料の情報を得る行為がもたらす付加価値が米国で12年に3000億ドルで、年間400億ドルずつ拡大しているとの結果が出たそうだ。円換算すると17年には55兆円ということになる。

 冒頭のエコノミストはデジタル化でサービスが低価格になれば、生活レベルは向上し、デフレや需要減が経済成長を鈍化させても国の繁栄を損なうとは限らない。長いデフレを経験した日本がその好例だとしている。借金大国の日本だが、言われてみれば、一理あるような気もする。




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