出張でベトナムに来て、驚いている。女子が急速におしゃれになっているからだ。以前は暑さにもかかわらず、厚手の合繊ワンピースなどを着ていた彼女たちが、ふわっとした綿のブラウスをまとっている。ホーチミンやハノイに「ザラ」や「H&M」といったグローバルブランドがこの1、2年で出たことが大きいようだ。
もちろん全てのベトナム女性がおしゃれに目覚めたわけではない。「地方の女性は何年に1回しか服を買い替えないことも多い」とベトナム繊維協会の会長が言うほどだ。ただ日系企業に勤めるOLでも「ザラやH&Mは高い。出せるのは日本円で1900円、2900円まで」。購買力が徐々に高まっているとはいえ、買える範囲はまだ限られている。
そうした若い女性たちに人気なのが新興ベトナムブランドで、どんどん増えているらしい。ハノイではベトナムレディスブランドが集まるストリートができていた。
欧米と比べても東南アジアの成長率は高い。これを取り込めないものだろうか。東南アジア向けに商品を開発して売るのは王道だが、価格面で難しいだろう。日本で大幅な値引きをするくらいなら、アジアに持ち込み価格を抑えて売る選択肢もある。様々な仕組みや手法が考えられるが、視野を広げて世界を市場と見れば、新たな商流が見えてこないだろうか。