《めてみみ》福井のEC

2018/04/12 04:00 更新


 ネット販売で注目の企業が福井県に増えてきた。昨年夏、EC専業のユニフォームネクストが、福井の企業として約10年ぶりの上場を果たした。すててこはインナーやカシミヤ製品のECで成長し、イーゲートやエル・ローズなどのインナーメーカーも新ブランドをEC販路から立ち上げた。

 福井は日本のほぼ真ん中に位置し全国発送がしやすい。倉庫や物流センターのコストが安い点もメリット。何よりも女性が働きに出るのが当たり前という土地柄で、ECに欠かせない人材が確保しやすかったことが大きい。確かに直近の国勢調査を見ても、女性の労働力率や就業率、共働き率は全て全国第1位を占める。

 自然の流れで伸びたわけではない。ユニフォームネクストは、かつてユニフォームの地方代理店を手掛けていた。「代理店として生きていける地域でなかったことが、逆にEC専業としての大きな踏ん切りになった」。すててこの場合も家業だった駅前の一般衣料専門店が限界となり、ECにかじを切らざるを得なかった歴史がある。

 これからECも厳しい競合が待ち受けている。これに備えて、各社が人材のレベルアップやサービス・物流機能の強化などにもう一段力を入れ始めた。起業家精神も依然旺盛だ。近い将来、合繊と同じくらい福井のECが存在感を示しているかもしれない。



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