中国が推進する「一帯一路」に関する報道が増えてきた。かつてのシルクロードをイメージした巨大経済圏を作り上げようとする一大プロジェクトだ。一帯は中国内陸部から中央アジア、欧州へ向かう陸路、一路は沿岸部から東南アジア、中東やアフリカへ伸びる海路を指す。
一帯の象徴としてクローズアップされるのがポーランドにある「中国商城」。100円均一ショップなどの買い付けで有名な浙江省義烏の卸売り市場が、そのまま移転したような市場だ。
数え切れないほどのブースには中国人の起業家たちが入居し、欧州各国からは低価格の衣料や雑貨を求めるバイヤーが多数訪れる。ブース間の競争も激しく、薄利多売を承知の上で新規顧客を獲得しようと商談が続く。
国境をまたぐ経済圏構想は、各国の利害が絡み簡単に進まないものだが、トップ交渉で鉄道通関事務などの簡素化を進めた結果、納期が大幅に短縮されている。
もちろん、バラ色の未来だけではない。中国勢の攻勢に懸念を示す欧州企業もあり、様々な摩擦が予想される。物流量の増大に対応するには、もう一段のインフラ整備が必要になる。それでも、世界の貿易の流れを大きく変える可能性は十分ある。こうした中国からの欧州向け輸出が今後も大きく伸びるなら、日本市場にどんな変化が出てくるのかも注視したい。