《めてみみ》スモールストロング

2017/12/18 04:00 更新


北海道・根室を拠点に、衣服の原点に立ち返り、その土地の気候風土に沿って企画される「ヴォストーク」

 「スモールストロングを応援したい」と強調したのは日本メンズファッション協会(MFU)のセミナーで講演した元博報堂のクリエイティブディレクター、佐藤夏生氏。以前はグローバルなスポーツブランドや高級外国車など多くのCMを手掛けてきた。

 佐藤氏は「昔と違ってファッションはおしゃれじゃない。ファッションの領域が広がり、その中で洋服が占める割合は2割以下になってしまった。今のブランドはサプライズ=意外性が欠かせない。〝らしさ〟と〝らしくなさ〟の境界線のギリギリのところを表現しないと消費者に響かなくなっている」と分析する。本当におしゃれなものを追求すると間口は狭くなってしまうので、マスマーケット向けだとダサさの調整が大事になるとも。

 日頃の取材でも、消費者参加型のイベントでコミュニティーを確立して地方都市で奮闘する個店のオーナーをはじめ、繊維産地など地域の資産(伝統技術)を生かしたローカルブランド、アップサイクルや害獣の有効活用など社会貢献を目指すブランドといった、高い志と情熱を貫く人たちに心ひかれる。

 「これからは規模の大小にこだわらずカッコイイことをしたい」と佐藤氏。カッコイイ=文化=人とつながり新たな価値を生み出すこと。小さくても魅力的で価値あるコト・モノが世の中にはたくさんある。



この記事に関連する記事