11月28日に開いた子会社のデータ不正書き換えの緊急会見で謝罪する東レの役員
「あぁ、東レまでも」。東レの100％子会社でタイヤコードなど産業資材用繊維製品を扱う東レハイブリッドコードが客に対する「納入製品の検査成績書に記載するデータ」を不正に書き換えていた。相次ぐ日本を代表する大手企業によるデータ改ざん。どれだけ続いても、「他山の石以(もっ)て玉を攻(おさ)むべし」とはならない。非常に残念だ。
ある大手メーカーの社長は、メーカーは品質向上に取り組み、以前と比べて顧客からの品質に関するクレームやトラブルが「確実に減っていることは事実」と前置きした上で、こうした品質に関するデータ改ざんがなくならない理由の一つに、「日本の顧客の要求スペックが欧米と比べても細かすぎる」ことを挙げた。そのために品種が増え、複雑さが増しているという。何か問題が発覚した時に「すぐに報告する」企業風土やコミュニケーションの重要性も説いた。
ある商社の社長は、コンプライアンス（法令順守）関連部署など組織を作るのは一歩にすぎないと言う。「間違ったことはしないという精神性が企業風土の根底にないと駄目。そうしたことをトップが言い続け、そして最後はトップの良心に尽きる」と話していた。
不祥事や不正によって信用や信頼は一瞬にして崩れる。先達も含め、どれだけ長い時間と手間をかけて築いてきたとしてもだ。
