《めてみみ》不動産頼り

2017/11/21 04:00 更新


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 大手百貨店は不動産事業を拡大している。百貨店の売り上げ、利益が伸び悩む中で、百貨店偏重の事業構造を見直し、収益バランスを最適化するのが狙いだ。都市部の好立地にある保有不動産の活用や店舗周辺の自社・外部物件による賃貸面積の拡大が中心となる。

 とはいえ、各社の戦略は異なる。J・フロントリテイリングは「脱百貨店戦略」の柱に不動産事業を位置づけ、今年「ギンザ・シックス」「上野フロンティアタワー」を開業した。高島屋は子会社の東神開発と連携し、都市型SCを通じて街づくり戦略を強める。従来の百貨店とは一線を引くJフロント、百貨店と専門店を一体化した高島屋という方向性だ。

 三越伊勢丹ホールディングスは14年4月に野村不動産と提携し、レジデンス事業に注力してきた。分譲マンション事業の拡大とともに、資産ポートフォリオを組み換える。老朽化した保有不動産を売却して得た資金を活用し、銀座や青山など都心一等地の賃貸マンションを取得し、管理・運営する。

 収益面だけでなく、百貨店からのモノ、コトのサービス提供などで顧客接点を強める狙いだ。小売りノウハウなど特色がなければ、不動産事業で埋没しかねない。一方で、不動産頼りでの百貨店の再生は難しい。単にSC化や定借化しても、次の成長戦略を見いだすのは簡単でない。



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