《めてみみ》ブラパン100

2017/06/22 04:00 更新


 ワコールが今年の春に出版した本が『ブラパン100』。文字通り、親しい仲でも聞きにくいブラジャーやパンツにまつわる女性の悩みや本音を100の質問でまとめたものだ。いつも衝動買いするため、たんすには500枚のブラジャーがあり、しかも半分以上はタグ付き未使用という業界にとってありがたい人がいたり、洗濯頻度が意外に低い人の存在などに驚く。

 もともとブラパンは、09年に同社のホームページ内のウェブコンテンツとしてスタート。「マイワコール」の登録メンバーに下着に関するアンケートを実施し、回答をグラフやコメントで紹介してきた。クローズにしておくには惜しいと、今回の書籍化が実現した。

 昨今の消費の厳しさを反映し、多くのアイテムが苦戦するなか、インナーは比較的健闘している。同社の3月期決算も微減収ながら利益は過去最高に近い。〝ワコール版オムニチャネル戦略〟など次世代の柱作りも進む。

 もちろん課題はある。好業績ゆえの安定志向、意思決定に時間がかかる点など大企業が陥りがちな弊害は常につきまとう。それでも人体計測の膨大なデータ蓄積、ニーズ・シーズの地道な把握は賞賛に足る。ブラパンも延べ40万人という多数の声の一部を集約したものだ。好業績の裏には膨大な努力が隠されていることを改めて感じた一冊だった。



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