一畑百貨店閉店後の松江・米子商圏 業績伸ばすも〝プラス効果〟は限定的

2025/10/29 14:00 更新有料会員限定NEW!


 JR松江駅の一畑百貨店(以下一畑)が24年1月に閉店し、百貨店空白県となった島根県。松江市の既存商業施設、および鳥取県米子市の百貨店は、取引先や顧客など〝一畑資産〟の獲得を進めてきた。各施設とも売上高、集客面で、24年度はそのプラス効果が出ている。ただ、物価高や気候変動、移動距離の壁なども影響し、想定は下回っている。人口増加が見込めない中、一畑顧客のさらなる獲得を含め、中海・宍道湖を囲む中海圏全体からの集客と顧客化を目指す動きが広がりそうだ。

松江市(人口19万2000人)

 一畑百貨店は地下1階~地上6階で売り場面積は約1万4000平方メートル。松江店単体の売上高はピーク時は108億円(02年3月期)あったが、23年3月期は43億円だった。23年6月に閉店を発表し、24年1月14日に65年の歴史に幕を下ろした。地元商業関係者によれば、同店跡の活用はまだ決まっていない。

24年に閉店したJR松江駅前の一畑百貨店。跡活用はまだ決まっていない

百貨店MDを導入

 閉店の発表を受け、周辺施設は一畑の取引先誘致に動いた。早々に誘致を実現したのが隣接する駅商業施設のシャミネ松江(運営はJR西日本山陰開発、店舗面積4200平方メートル)だ。同年1月に「ビースリー」、2月に「タケオキクチ」「アンタイトルギャラリー」(アンタイトルから業態変更)の3店を新規導入した。同年秋に「ミニプラ」を山陰初の「プラザ」に業態転換したほか、飲食・食物販店の新規導入などの改装を進めた。24年度の全館売上高は前年比11.8%増の2ケタ増となった。「移店店舗でかなりのプラス効果があった」(藤原芳郎社長)ことや特急列車やくもの新型車両の運行開始も貢献した。

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