丸井グループ 在庫持たない「体験ストア」拡大

2017/03/24 06:30 更新


 丸井グループは、商品サンプルだけを置き、在庫を持たない婦人靴の「体験ストア」を拡大する。これまでの外部SCへの期間限定の出店だけでなく、自店の常設売り場の体験ストアへの転換に着手する。丸井錦糸町店2階に2月末、1号店を開設した。

 ウェブ通販と店舗を融合し、システム、物流、店装などグループ一体型のプラットフォームを活用した独自のビジネスモデルの構築を目指す。

 体験ストアはサンプルだけを陳列し、顧客に自由に試し履きしてもらう。顧客が店頭の専用タブレット端末から購入し、商品を自宅に無料配送する。外部出店は15年9月の西鉄福岡(天神)駅を皮切りに、16年度はSC、百貨店の50カ所に期間限定で出した。

 体験ストア利用者のうち、ウェブ通販への会員登録が7割、自社カードへの入会が4割を占める。通常の出店に比べて低コスト・低リスクのため、17年度も同様の出店を予定する。自店での体験ストアは吉祥寺店、静岡店で昨年10月に一部導入したが、婦人靴PB売り場全体を体験ストアにしたのは錦糸町店が初めて。店頭で売らない新業態店となる。

 19.5~27センチの16サイズ、30型の婦人靴の中から自分の好みの商品を納得いくまで選ぶことができる。現物商品でないため、「自由に手にとって何足でも試してもらい、これまでの靴選びのストレスを解消してもらう」(丸井オムニチャネル事業本部)狙い。広いウォーキングスペースや大きな鏡を配置して、ストレスなく試し履きできる環境を整えた。

 販売員がストック場と往復する作業がなくなり、通常店舗に比べて3割の業務時間を削減できる。その分を接客サービスや専門スタッフによる足の計測・サイズ調整、購入後の修理への対応にあてる。購入した商品は最短2日で配送する。顧客は手ぶらで帰ることができる。

 PB「ラクチンきれいシューズ」は10年に発売し、累計320万足を販売した。40代以上の購入客の売り上げ構成比は店舗が44%に対し、体験ストアが65%を占め、22センチ以下と25センチ以上の端サイズは店舗が27%、体験ストアが47%に達する。錦糸町店で「体験ストアのトライ・アンド・エラーを重ねながら、ビジネススキームを確立する」考えだ。

入口で「ペッパーくん」が出迎え、店内のサインは独自仕様で自由な試し履きを促す(丸井錦糸町店)


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