丸井グループとオンラインファッションレンタルのエアークローゼットは14~16日、有楽町マルイで協業イベントを開いた。エアークローゼットのスタイリストが、訪れた客に合ったコーディネートをその場で提案するもの。サービスをリアルの場で体験してもらうことで、シェアリングエコノミーの普及を狙った。なぜ小売りとファションレンタルが組み、今後どう発展するのか。丸井グループの青木正久新規事業推進部長とエアークローゼットの天沼聰社長に聞いた。
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多様なニーズに応える
青木 商業施設は、お客の多様なニーズに応える使命があります。今後広がるシェアリングエコノミーにどう関われるのかを模索するため、今年から新規事業推進部にシェアリングビジネス担当を置きました。丸井グループとしてはシェアリングのメニューをたくさん揃えたい。すでにブランドバッグ「ラクサス」とのイベントや、ブランド時計レンタルの「カリトケ」の常設店を導入しており、次はレディスファッションにトライしようとなりました。これらサブスクリプション(購入せず利用期間などに応じて料金を支払うもの)サービスは当社の「エポスカード」などフィンテック事業との相性も良いことも理由です。
天沼 当社としては初めて実店舗を持つ小売りとの協業です。シェアリング事業の担当者がいるのにまず驚きましたね。エアークローゼットは300ブランド以上の協力を得て、スタイリストが客に合わせて商品をお薦めする「新しいファッションとの出会い」に重点を置いているので、小売りと共存できると考えています。一方でシェアリングエコノミーは認知度は3割程度、実際にサービスを利用している人にまで絞ると数%のパイしかありません。イベントによって、シェアリングエコノミーで得られる価値として新しい出会いがあることをPRできれば。
青木 スタイリストが提案するオンラインのファッションレンタルは「何が送られてくるかわからない」「汚すとどうなるのか」といったように、お客にとっては使い始めるまでの壁が高い側面があります。店で実際に体験して直接話をしてもらうことで不安解消に役立ちたいですね。
常設ショップの開設も
天沼 消費者インタビューをすると、「子育てが終わって落ち着いてからサービスを楽しみたい」という声を頂くことが多いです。でも実際、仕事や子育てに忙しい女性にこそ使ってほしいサービス。こちらの思いを伝えるためにもリアルの場でもっと訴求していく必要を感じます。
青木 店頭で「買う」「借りる」の選択肢を揃えることで、最初は気軽に借りて試して、気に入った商品を購入してもらうという消費にも期待できます。まずは、シェアリング文化の醸成が大きなミッション。サービスをいつでも体験できるようにすることにより、効果が最大化できるので、常設ショップの開設も検討しています。シェアリング事業の収益構造はアパレルと異なり、テナントとして導入するまでのハードルもありますが、トライしていきたいです。