西脇市の地域活性化PJT 「ちょっと外の視点」で魅力発信

2019/07/24 06:30 更新


 先染め織物産地として知られる兵庫県西脇市で、新たな取り組みが始まった。東京でデザイン会社を運営する丸山大貴さんが手掛けるプロジェクト「マルブンノイチ」だ。同名のマルシェイベントやウェブメディアなどを通して、街の活性化や新たな魅力の発信に取り組んでいる。

(三冨裕騎)

ブランディングを応用

 丸山さんは西脇市の隣にある兵庫県加東市の出身。大学入学を機に上京し、デザイン会社に就職。その後独立し、17年にテッタオデザインオフィスを設立した。西脇には、大学生の頃から足を運び、地元の街にはない「どこかノスタルジックな雰囲気や街並み」に魅力を感じていたという。

 丸山さんは仕事を通じて、新商品の立ち上げに関するブランディングなどを手掛けてきた。その経験を西脇の活性化に応用できるのではと考え、空き家の増加や高齢化といった課題解決や街の魅力発信のためのプロジェクトを立ち上げた。

テッタオデザインオフィスの丸山大貴さん

 「中長期的に根を下ろしてやっていきたい」と、今春には西脇市内にオフィスも設立した。当時としては珍しい3階建ての、築80年の洋品雑貨店を改装した。地元の人との接点として卓球大会に活用したり、多目的スペースとして貸し出すことも検討している。

 今年3月、ウェブメディアもスタート。街の紹介や、レトロな喫茶店のオーナー、地元の播州織職人などのインタビューを掲載した。地元民でもなく、全く違うところから来た訳でもない「ちょっと外の視点」から見た西脇の魅力を発信している。

今春、西脇市内にオフィスを開設。ショップや多目的スペースとして貸し出すことも検討している

草の根の課題解決

 地域活性化の一環として、マルシェイベントも開催している。6月末に開いた第2回は、駄菓子や地元の有機野菜の販売に加え、東京・千駄木の老舗べっこうメーカーや若手ファッションブランドなど約20組が参加。子供連れも多く、約700人が参加し活況だった。

 7月末に第3回を予定しているほか、今秋には音楽アーティストも参加するローカルフェスのようなイベントの開催も計画している。クラウドファンディングも検討中だ。

 西脇は最近も地域密着型の地元スーパーが閉店し、街の総菜屋さんも少なくなっている。手作りの総菜を食べたいという需要に応えるため、「みんなのおばあちゃんの得意料理を食べられる」総菜屋の立ち上げを計画するなど、草の根の課題解決にも取り組んでいく。

 丸山さんは「歴史がある街にしかない建物がそのまま残っている。どこか時が止まったような雰囲気が何ともいえない魅力」と話す。こうした雰囲気は「外国人にも魅力に映るはず」と、インバウンド(訪日外国人)の可能性も探っていく。

 「デザインの仕事はロゴを作って終わりではなく、コンセプトメイキングから販路開拓に至るまで手掛けること。入り口から出口まで、その発信をお手伝いできれば」と力を込める。

マルシェイベントではかつて使われていた市内の銭湯なども会場にした


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