メゾン・マルジェラ「アーティザナル2024」 ストーリーをガリアーノ自身が説明

2024/11/06 06:29 更新


製作風景を追った映像も見どころのひとつ

 「メゾン・マルジェラ」は11月2日から東京・恵比寿で、展覧会「アーティザナル2024」をスタートした。1月のパリ・オートクチュールコレクションで発表した作品とともに、制作の背景をアーティスティックディレクターのジョン・ガリアーノ自身がオーディオガイドで伝える。恵比寿の直営店が入るキョウデンビルの2、3階が、アーティザナルの世界に染まった。

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 暗い階段を上ると、コレクションの着想源となった写真家ブラッサイによる女性の写真がぼんやりと浮かび上がってくる。その女性は、パリのカフェで帰らぬ夫を待ち続けたマダム・ビジュー。その退廃的なムードに誘われながら会場に入ると、事後解剖というコンセプトの通り、一つひとつをひも解くように作品が展示されている。

 会場の中心の解剖台のようなテーブルには、人体が横たわるように繊細なレースのドレスが置かれている。立体的な丸みと波打つドレープ。美しいフォルムを形作りながらそこには一切の縫い目がない。その精巧な仕立てを間近で見ることができる。

解剖台の上には、縫い目のないレースのドレスが横たわっている

 びりびりのストッキングで包んだスポンジの曲線ジャケットは、マダム・ビジューに着想を得たルック。質素な素材でクチュールを仕立てることで、ありったけのジュエリーを身に着けながらボロボロの服を着ていた女性のはかなさを表現している。

 コレクションの軸となったコルセットにも焦点が当たる。通常のボディーにわたを貼り、極端なくびれを表現する工程が分かる。その緻密(ちみつ)な展示は、まるで博物館のよう。3月にパリのショールームで披露した展示を東京で再現している。

 2階では、制作風景を丁寧に追った映像や、ストーリー仕立てのコレクション動画を見ることができる。11月24日まで。



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