ウィーク中にLVMHヤングファッションデザイナープライズのショールームが開かれた。今回で11回目。世界から20組のセミファイナリストが一堂に会した。今年の傾向はクラフトと言っていいだろう。それもそのはず、これまでのグランプリと次賞であるカール・ラガーフェルド賞に、クラフトやサステイナビリティー、テクノロジーに力を入れているデザイナーに贈られるサヴォアフェール賞が加わった。
ロンドンベースのストーリーテラー「パオロ・カルザナ」はデカダンスを感じさせる。デッドストックの日本製シフォンを天然素材で染色。24年秋冬はウォールナッツ染に挑戦していた。台湾の「チャンホン・スー」は漢方を使い布を染める。台湾の原住民と協業したテキスタイルも制作。アンティーク生地を劣化させないためにシフォンで挟みガーメントを作ったのはアメリカ人「オーベロ」。
日本からは正体不明の「コッキ」が選ばれた。ディレクターであるアベ・コウキのパーソナルな部分を公開。故郷である山梨県清里のアメリカ人が開拓した環境を紹介し、ブランドのDNAの一つであるキルティングとのつながりを示した。
また、2人のデザイナーがカムバックを果たした。「デュラン・ランティンク」は古着のアップサイクルやリサイクル素材を使いダイナミックなシルエットを提案する。「ニコロ・パスカレッティ」は前回の参加以来、ビジネスが大きく伸びた。プライズデザイナーたちの成長を垣間見ることもできた。
(ライター・益井祐)