欧州ラグジュアリーブランド いかに職人技を継承し、発展させるか

2023/05/31 15:00 更新有料会員限定


 欧州ラグジュアリーブランドはこれまで以上に、手仕事に焦点を当てた取り組みに積極的だ。日本だけでなく世界各地の老舗産地は、技術の継承が大きな課題となっている。いかにして伝統の技を継承し、未来に向けて発展させるか。職人や物作りの現場をフォーカスして、その価値を広く発信する取り組みが広がっている。

(青木規子)

 2、3月のファッションウィークを終えて一段落した4、5月、海外のラグジュアリーブランドは相次いで日本でイベントを開いた。6月のメンズ・ファッションウィークまでの2カ月間は、わずかな隙間の時期。コレクションとは別に、今伝えたいこととして、手仕事や職人技にスポットを当てた。

展覧会で丁寧に伝える

 特に多かったのは、職人技に着目した展覧会やイベント。手仕事はラグジュアリーブランドにとって必要不可欠な要素で、そこにスポットライトを当てた展覧会はこれまでも行われてきたが、今回は一層深掘りし、一般客にも伝わるように丁寧にわかりやすく伝える企画が多かった。

 なかでも「フェンディ」は、イタリア各地のクラフツマンシップに焦点を当てた大型展で存在感を残した。4月末から5月頭まで東京・神宮前で「ハンド・イン・ハンド」展を開催した。「クラフツマンシップの認知と希少な技の継承」を目指して、それぞれの特徴や作業工程を展示し、職人によるデモンストレーションも多く行った。

フェンディ「ハンド・イン・ハンド」展

 シグネチャーバッグの「バゲット」のコーナーで紹介されたのは、かぎ針編みやタペストリー、パイルカーペット、寄木細工、モザイクタイル細工といったイタリアの19の工芸アトリエ。刺繍一つ取っても、地域によって糸や柄が違う。豊かな表情をプラスする各地の仕事が一目でわかるように、地図でそれぞれの特徴を示した。

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