【ロンドン=若月美奈通信員】25年春夏向けのロンドン・ファッションウィーク・セプテンバー2024は、実力派の若手のショーとともにスタートした。白を基調としたしなやかなスタイルに、ユーティリティーやスポーツの要素を加えた軽やかなスタイルが広がっている。
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S.S.デイリーは、初めてのウィメンズウェアのショーでロンドンのステージにカムバックした。生花が絵画のように飾られたロイヤル・アカデミー・アートの白い部屋を、テーラードジャケットやメンズアイテムに身を包んだモデルがさっそうと歩く。ふんわり羽根が覆うネクタイ、花を描くウッドビーズのオーバースカートなどテクスチャーで変化をつける。ワイドパンツのコーデュロイスーツ、胸に大きな犬が編み込まれたセーターなど、このブランドらしい温もりも残しながらも、牧歌的なイメージは消えた。テーラードやユーティリティーウェアを着ていたことで知られる前世紀の画家、グリックがミューズ。ジェンダーニュートラルな生き様とフラワーペイントで知られる彼女の世界を、ほっそりとしたエレガントなスタイルに落とし込み、ブランドの新しいページをめくった。
ハリス・リードはダイナミックなデザインを継続しながらも、クリノリンシルエットの構築的なドレスを透ける素材や骨組みのような構造、ミニ丈でよりコンパクトに仕上げた。ミニドレスは高く突き出た翼のような襟で上にボリュームを置き、レースアップして絞ったウエストから丸みを帯びたヒップを布地がなで下ろすロングドレスはトレーンを引く。たっぷりと布がたわむ袖、黒いコサージュが立体的に描き出すシャドーフラワー、柄が織り込まれたレースの鳥かごのようなスカートドレス。それらは皆、ビンテージのテーブルクロスやアンティークのカーテンといった室内装飾用の生地で作られている。忘れ去られようとしている貴重な生地に新たな息吹を注ぐデミクチュール13点が並んだ。