「日本人は『501』を独自に解釈した」

2016/06/08 16:31 更新


5月20日、ジーンズの誕生日に合わせ来日した
ジェン・セイCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)に聞く

 5月20日がブルージーンズの誕生日だということをご存知だろうか。1873年のこの日に、米リーバイ・ストラウス&カンパニーがリベットを打ったパンツで特許を取得した。ジーンズの誕生日に合わせて来日した、ジェン・セイCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)に話を聞いた。

 


 ――ジーンズの誕生日を記念して「501」ジーンズのショート・ドキュメンタリー・ムービー3部作を制作したが、4作目では日本にフォーカスした。


 これは「リーバイス」の代表的なモデルである501の歴史を物語っていくものです。歴史といっても、いつ何があったといったものではなく、文化的側面を深く掘り下げています。カウボーイライフスタイルの一部だった501がハリウッドスターに着用されてスタイルアイコンとなり、現在のデザイナーやスタイルリーダーに与えた影響や、ヒッピーなどカウンターカルチャーのシンボルとしての501を追ったものです。

 501をはいた、時代を象徴する人たち、彼らがどういう人か、そして時代の背景やスタイルも含めて、その中で501がどういう意味合いを持っていたのかをまとめました。続編の第4部では日本にフォーカスしています。

 

NEWPART 4:JAPAN

 

■We are 501(R):公式サイト

 リーバイスのビンテージジーンズの70%は日本で販売されています。そんな国は他にありません。米国にもビンテージコレクターがいないわけではありませんが、裾野の広さやその熱意のすごさでは日本が勝っています。

 日本の人はヘリテージ(伝統)やクラフトマンシップ(職人魂)、機能に裏打ちされたデザインに敬意を払ってくれます。米国文化へのあこがれももちろんあるでしょう。自己表現の大切さ、オーセンティック・本物志向、体制への反抗、そうしたことに日本の人は反応してくれました。

 501に対して日本は他国に類をみない解釈、日本らしい見方がされています。それは他の国や米国にとっても意味を持つものです。日本の人は501についてよく勉強していて、強い熱意をもっています。そこから日本独自のものを生み出し、それらを組み合わせて新しいものを生み出しました。それは米国のデニムカルチャーにとってもヒントになるもので、日本にインスパイアされています。

一般の人たちにフォーカス


 ――リーバイ・ストラウスジャパンの第1四半期業績が約2割の増収になるなど、リーバイスが復活している。

 その背景には当社の力と市場で追い風が吹いたという両面があります。アイコンとなる製品への注力、革新的な商品を投入する中で、市場ではオーセンティックな流れがきています。

 14年から展開している世界的なキャンペーン「リブ・イン・リーバイス」も好評です。リーバイスを着て何を成し遂げたか、人生のどんな一歩を踏み出したか、世界中のリーバイスファンから寄せられた、それぞれの人生のストーリーにインスパイアされて作られた映像で、約5年ぶりとなるTVCMも放映しました。

 さまざまな人を巻き込みながら、リーバイスを着てどういうことをしているか、それぞれの人生のストーリーに焦点を当てるものです。一貫性があって、ストーリーテリングできるものであり、20~30年続けられる長期的なキャンペーンだと考えています。

 

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ジェン・セイCMO

 

LGBTQの人たちの権利を擁護


 ――4月からLGBTQ(性的少数者)をサポートするためのプライドコレクション(Tシャツ、Gジャン、デニムショーツなど)を発売した。

 リーバイスは企業として、「平等」ということを重視しています。雇用において人種差別しないことなど、米国政府が法制化する以前から、当社では実践していました。レズビアンやゲイの人に対しても平等という観点から、その権利を支援・擁護していこうとコレクションを出しました。

 売り上げの一部は非営利団体、ハーヴェイ・ミルク財団に寄付されます。ハーヴェイ・ミルクは自身がゲイであることを公表してサンフランシスコ市会議員に就き、平等な権利のために活動した人物です。プライドコレクションは発売してすでに3年目になりますが、世界的には今年からです。


 ――16~17年秋冬、リーバイスはどんな商品を打ち出すのか。

 細身のスタイルの「505」をリニューアルした「505C」をグローバルで出します。505は70年代、ニューヨークのダウンタウンなどのロックンロールバンドのメンバーが自分ですごく細くするなどカスタマイズしてはいていました。

 日本でも2000年代初頭に原宿で売れました。今回のリニューアルではこうしたロックテイストを加え、細身でダメージ加工やリペア(補修)加工したものなどを出します。501のストレッチ商品もグローバルで販売します。

 さまざまなカルチャーと密接に関わってきたリーバイスにとって、音楽は自己表現を体現するブランドとして欠かせないものです。そのため、日本の歌手シシド・カフカを15年春のグローバル・キャンペーンに起用するなど、アーティストとの取り組みも行っています。

 

 

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