「女性の服はなぜポケットがある服が少ないの?」――東京・池袋のみらい館大明ブックカフェで、「ポケットのある服のフリマ&お茶会」が開催された。主催したのは今年3月にスタートした「レディース服に『ポケットあり』の選択肢を~#レディース服にポケットを~キャンペーン」。発起人としてキャンペーンとイベントを運営するのがコミュニティーマネージャーの卜沢彩子さんだ。
(壁田知佳子)
「ポケットないと不便」の声
フリーマーケットには、ポケットのある服を2点以上持ち寄った出店者と、ポケットのある服を探す人が集った。服を並べたテーブルには、「ポケットあり」「ポケットなし」と明確に表示した。
ポケットに対して集まった声も掲示した。「スカートのポケットが小さくてスマートフォンが落ちる」「オフィス内で名刺入れは常に携帯しておきたい」「会計時にイヤホンを一時的にポケットに入れたい」などのネットで寄せられた声のほか、フリマ来場者にも意見を書いてもらった。「ポケットが小さくて定期を落とした」「自転車に乗るとポケットからスマホが落ちそうになる」「貴重品を持ってトイレに入ったら置き場がなかった」…。来場者は次々と付箋(ふせん)に意見を書き込んだ。
「欲しい」にたどり着かない
キャンペーン立ち上げのきっかけは、今年1月の羽田空港の飛行機事故だった。緊急脱出時にはバッグを持ち出せない。貴重品を持ち出せるかどうかが、ポケットの有り無しに左右された。
女性の服は仕事用の服でもポケットがなかったり、あっても実用的な大きさでなかったりするものが多い。卜沢さんは以前から、ECモールやブランドサイトでポケットの有無を調べたり、店頭で服を触ってみたりと、ポケットのある服を探し求めてきた。しかし、思うように求めるものにたどり着かない。
「UV(紫外線)カットや保温機能で検索できるように、ポケットの有り無しで探しやすくなるといい」。願うのは、「(ポケットのある服への)アクセスの改善」だ。自身が化粧品企業のEC運営に携わっていることもあり、「欲しい人に届いていないのは、企業にとって損失につながる」とも指摘する。
キャンペーンで集めた署名は11月には約4000に達した。同時に行ったアンケートでは、「ポケットがなかったことで服の購入をやめたことがある」という回答が8割あったという。12月には大手のECモールやブランドに署名や集めた声を届ける予定だ。