3年前、突然襲ったパンデミック(世界的な大流行)は国内産地にも大きなダメージを与えた。受注が止まり、事業存続の危機に陥った企業も多いなか、これを救ったのはマスク特需だった。ゆかた帯を製造する小杉織物(福井県坂井市)も、その一つ。将棋の藤井聡太が対局で着用して話題になるなど運にも助けられ、2度の休業宣言を乗り越えた。特需が引いた今、再び本業の課題に向き合い、新たな市場開拓に挑む。
重なる幸運を足場に
20年3月31日。社長の小杉秀則さんは定例ミーティングに集まったリーダー20人に「4月3日から休業する」と宣言。年初に国内で感染者が確認されてから事態は急展開し、2月には商売に影響が出始めた。帯の製造販売業にとって、七五三や成人式は商売の大きな山。だが、先行きが見通せない3月の時点で、すでに受注は98%減まで落ち込んでいた。
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