創業140余年の老舗履物匠、祇園ない藤(京都市)が新作「コドリ」を発売した。8年前に発売した、草履とビーチサンダルの中間的アイテム「ジョジョ」に続くもので、台をウェッジソール風にすることで、よりファッション性を高めた。実用性も備え、和装にも洋装にも合わせられる。当面卸は考えず、自前で丁寧に販売していく。
ジョジョは、伊勢丹や高島屋、ジュンやバーニーズジャパン、聖林公司など通常の履物とは異なる販路を開拓。一見カジュアルな草履に見えるが、いわゆるビーサンとは一線を画する。全てのパーツは交換可能で、アウトソールはタイヤに使用される耐久性の高いゴムを使用。足の親指と人差し指で挟む前つぼは太くて柔らかい哺乳瓶の飲み口と同じ素材だ。水洗いでき清潔さを保てる。
日本の伝統的な履物のようにかかとが出るサイズで履くことを推奨。「かかとがないと普段より重心が前にいく。これが正しい姿勢。親指と人差し指でしっかりと地面をつかまえる感覚で歩くことで、第二の心臓であるふくらはぎも鍛えられ、血流改善に役立つ」と5代目店主の内藤誠治さん。もちろん、室内でリラックスしたい時は、かかとまでまかなうサイズで履いてもいい。
ジョジョに次いでこのほど発売したのがコドリで、ジョジョに比べ、晴れの場面でも着用できるスタイル。スクエアタイプと細いタイプの二つの台を用意した。スクエアタイプが男性用だが、細いタイプを選ぶ男性もいるという。ジョジョ同様に指股のパーツは柔らかいシリコーン製。台は先端を反り上がらせることで蹴り出しを容易にし、膝が前を向いた状態で進みやすくしている。
ジョジョ同様に、台と鼻緒、前ツボの全てのパーツは交換可能だから、長く着用でき時流に合っている。細めのタイプが基本4色(税込み5万7200円)、スクエアが2色(6万500円)。まずは自店舗と期間限定店などで販売するが、海外販売も展望している。内藤さんは、「日本から世界へ出ていくブランドと一緒に海外に出て行ければ」と話している。
正しい姿勢で歩き健康に
■内藤誠治さんの話
そもそも履物は呉服とワンセットではなく、衣装の従者でもない。(中国の)呉の国から来た服の歴史よりも前から日本にあった生活の道具だ。その考え方で日本の伝統的な履物の新しい形として提起している。ジョジョもしかリ、コドリもしかりだ。人生100年時代、健康への関心が高まる中、正しい姿勢で歩くことで多くの体の不調を回避できる。日本だけでなく、世界の人の関心でもあるので海外でももっと知ってほしい。コドリ(KODORI)は〝小躍り〟から名付けた。履くと機嫌が良くなる、不調知らずの履物だ。