礼拝堂跡地をカフェにしたベルリンの人気スポット(宮沢香奈)

2020/09/11 06:00 更新


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今年は冷夏になると思っていたベルリンの夏も昨年ほどではないにしろ連日30度を超える猛暑に見舞われた。それでも湿度が低く、カラッと晴れる夏の陽気はそれに勝るものはないと言えるほど心地良い。この気候が好き過ぎて夏季には一度も帰国していないほど。

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そんな夏の楽しみの一つがカフェやレストランのオープンテラスで過ごす時間である。ベルリンの人々はドイツ人に限らず、とにかく日光浴が大好き。陰鬱な冬を乗り切るための健康法でもあるが、日照時間が長くなる5月~9月ぐらいの間、屋外で過ごすティータイムやディナータイムを非常に大切にする習慣がある。


コロナ禍によってソーシャルディスタンスが必要不可欠となっている現在だが、元から敷地内にオープンテラススペースを持つ店舗が多く、さらに隣接する店舗の前や通路にテーブルを拡大設置していいという法律が出来たため、どこに行っても贅沢なオープンテラススペースが用意されている。飲食店も営業に支障が出ているだろうと懸念していたが、むしろこれまでより開放的な空間が出来上がっており、短くて貴重な夏を楽しむ人々の笑顔が街中で見れることが嬉しい。


ノイケルン区の人気スポットとして今話題なのが21gramm。ここは、Thomas-Kirchof教会の礼拝堂をリノベーションして作られたカフェとして、2018年の6月にオープン。レンガ造りの建物の中は天井が高く、アール・デコ調のアーチ型の柱が並び、中世の雰囲気を感じさせる。厳かな礼拝堂の中に、ウッドを基調としたテーブルやモダンな家具が並び、天井から吊るされた植物がデコレーションされた大きなランプが存在感を放つ。


一番のお気に入りポイントは、トイレ入り口の壁に描かれた古いドイツ語の文字である。礼拝堂にあったものをそのまま残し、スタイリッシュな内装の一部にしてしまうセンスに感心した。ベルリンには歴史的建築物をリノベーションした店舗は沢山あるが、古いものと新しいものを融合させて全く別の用途のスペースに変える発想とセンスに非常に長けている。プロのインテリアデザイナーを入れずにオーナーやスタッフが自ら手掛けているところも多く驚くが、これがベルリンのスタンダードなのだと長年住んでみて分かった。ドイツ人は自宅でも何でもDIYするのが得意なのだ。

そういった中でも「21gramm」は抜群の発想力とセンスの持ち主だと言える。スタイリッシュな空間ながら落ち着いた雰囲気で、Wi-Fiも完備されているため何時間でもいたくなる居心地の良さ。そして、ネーミングセンスも良い。同名の映画があるが、21グラムには「人間は死ぬと平均して21グラムを失う。それは、私たちの魂の重さである。」といった意味が含まれており、同カフェも同じ由来からつけたとのこと。

特製キャロットケーキはふんわりした食感とまろやかな味わいでおすすめメニューの一つ。

ベルリンは昔からカフェ天国と言われているが、サードウェーブコーヒーが浸透するのも遅く、見た目はオシャレでもクオリティーが低いカフェも多数あった。しかし現在は、店舗の雰囲気だけでなく、ロースター選び、バリスタの腕前、スタッフのサービス、メニューの豊富さ、ヴィーガン&ベジタリアン対応などが重要視されるようになり、その店の評判へと繋がる時代となった。

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長野県生まれ。文化服装学院ファッションビジネス科卒業。

セレクトショップのプレス、ブランドディレクターなどを経たのち、フリーランスとしてPR事業をスタートさせる。ファッションと音楽の二本を柱に独自のスタイルで実績を積みながら、ライターとしても執筆活動を開始する。ヨーロッパのフェスやローカルカルチャーの取材を行うなど海外へと活動の幅を広げ、2014年には東京からベルリンへと拠点を移す。現在、多くの媒体にて連載を持ち、ベルリンをはじめとするヨーロッパ各地の現地情報を伝えている。主な媒体に、Qetic、VOGUE、men’sFUDGE、繊研新聞、WWD Beautyなどがある。

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