ベルリン発サステイナブル”Manakaa project”始動(宮沢香奈)

2019/09/10 06:00 更新


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シャネルやグッチといったハイブランドからZARAやH&Mといったファストブランドに至るまで、地球環境を考えた様々な形でのサステイナブルが目立つ最近のファッション業界。世界規模での浸透が始まる前から一歩先をいっている北欧には劣るが、ここドイツにおいてもブサステイナブルを提唱するブランドが多数存在し、年二回開催されている「Berlin Fashion Week」でも”Green showroom”といったサステイナブルブランドに特化したトレードショーが行われている。


しかし、正直なところ”パッとしない”のがこれまでの印象だった。以前に雑誌の取材をさせてもらった生産過程における全てのコストを明かすラディカル・トランスペアレンシーを導入している”HUND HUND”は、ハイブランドが使用しなくなった高級な生地を独自のルートで仕入れ、デザインも洗練されているため、ベルリンにおいて最先端なサステイナブルブランドと言えるが、こういったブランドはまだ少ないように思える。


地球環境に優しいことはファッションに限らず非常に大切なことであるが、ファッションである以上、ブランド背景と共にデザインも洗練されていて欲しいと思うのが私の個人的な意見であり、ファッション好きで地球環境に関心のある人であればきっと同意見を持っていることだろう。


そんな中、一緒に仕事していたアーティストを介して、ベルリン発の”Manakaa Project”の存在を知った。"Manakaa Project”とは、80年という歴史を誇る広島の老舗ガラスビーズ"MIYUKI"に魅了されたデザイナーのStefanie BlankとValerie Thiesmeyerの2人が、その伝統技術とサステイナブルを提唱するブランドとして2019年にスタートさせた。インドのオーガニックシルクやゴビ砂漠のカシミアなど、オーガニック繊維における生産から製造・販売まで、すべての工程の取り扱いについて定めた世界基準GOTS(The Global Organic Textile Standard)認証の生地を85%使用している。



シンプルでユニセックスなデザイン、着心地、肌触りの良い上質な素材、トレンドに左右されないブラック、シーズンコレクションを持たずにオールシーズン着れるアイテム、といった”ずっと着れる”という意味でのサステイナブルも提案している点もとても良いと思った。


日本の伝統技術で作られた美しいガラスビーズは、パターングラフィックで作成されたミニマルな配置の”コード”、波打った”ウェーブ”、下に流れ落ちるような”レイン”の3デザインがあり、インドの男性職人の手によってビーズ一つずつ縫われている。まさに国境を越えた究極のハンドメイドである。光沢のあるタイプとマットタイプの2種類のビーズを使用しており、気をつけないとミセス感満載になってしまうビーズ刺繍をベルリンらしいミニマルでモードなグラフィックパターンに落とし込んでいるのが見事。


個人的にお気に入りのアイテムを紹介したい。


遺伝子組換えされた肥料や農薬が一切使われていない農場で育てられた羊の原毛のみを使用した最高級メリノウールのジャケット。染色時にも有害な重金属は一切使用されておらず、水は再生利用されているため、廃棄物排出の減少にも繋がっている。


こちらは、発色のキレイなイエローのオーガニックシルクに、オリジナルのパターングラフィックがプリントされたスカーフ。


ブラックアイテムが多い中、スポット的に作られたアイテムのようで、エレガントなシルクにミニマルなプリントが映える。インドのジャールカンドを拠点とするCocoon社のオーガニックシルクを使用しており、殺虫剤、殺菌剤、遺伝子スプレーなどを一切使用せずに育てられた蚕から取れた糸のみで作られている。

また、地元の多くの女性たちが訓練を受け、従業員として働いており、生活を維持することが出来る女性支援にも繋がっている。


どちらのアイテムも先に述べたGOTS認証を受けている生地を使用しているが、具体的な認定基準は下記のように定められている。

  • オーガニック認定原料の使用量 70%~100%
  • 有機製造に関する、EUの規則に沿った有機農法の認証、または、アメリカ農務省のUSDA/NOP認証を受けた原料を使用。
  • GMO(遺伝子組み換え)技術を使用した原材料は使用禁止。
  • 有毒な重金属類、ホルムアルデヒド、芳香族溶剤、機能性ナノ粒子のGOTS認定オーガニック製品への使用・混入は一切禁止。
  • 一般製品からの移染・汚染・混入を防ぐため、すべての工程において、オーガニック製品を一般製品から隔離すること。
  • GOTS認定オーガニック工場は、使用電力の削減、水質環境に考慮した排水など、環境への影響を最大限に配慮し、製造を行わなければならない。
  • GOTS認定関連企業・工場は、安全で健全な労働環境を提供し、差別・児童労働搾取を行ってはならない。
  • GOTS認定製品は、原料の生産から、製品の加工、製造、梱包、輸出入そして流通における入荷・保管・出荷時の管理とすべての工程において、有機認定機関より認定を受けなければならない。
  • アゾ染料は使用禁止。
  • 加工助剤はGOTSが規定している、環境・人体への影響を考慮したもののみ使用可。
  • ボタンや縫い糸、ジッパーなどの付属品に関して、GOTSが定める残基規定を満たしたもののみ使用可。
  • 原料生産から最終製品まで、すべての工程におけるトレーサビリティー(生産履歴の追跡)が保証されている。
  • すべての製造過程の工場が、第三者国際有機認定機関によって毎年行われる、実地・書類の両検査をクリアしなければならない。


”Manakaa(マナカ)”とはヒンドゥー語で”真珠”の意味を持つ。同ブランドは現在、日本での取引先を探しているとのこと。日本でもサステイナブル思考が強まってきているとはいえ、まだまだヨーロッパに比べると遅れをとっている。環境だけでなく、デザイン、クオリティー、値段も適正といった好条件が揃った”Manakaa”のようなブランドが逸早く日本でも展開されることを願っている。



Manakaa Project

https://manakaaproject.com/

≫≫宮沢香奈の過去のレポートはこちら


長野県生まれ。文化服装学院ファッションビジネス科卒業。

セレクトショップのプレス、ブランドディレクターなどを経たのち、フリーランスとしてPR事業をスタートさせる。ファッションと音楽の二本を柱に独自のスタイルで実績を積みながら、ライターとしても執筆活動を開始する。ヨーロッパのフェスやローカルカルチャーの取材を行うなど海外へと活動の幅を広げ、2014年には東京からベルリンへと拠点を移す。現在、多くの媒体にて連載を持ち、ベルリンをはじめとするヨーロッパ各地の現地情報を伝えている。主な媒体に、Qetic、VOGUE、men’sFUDGE、繊研新聞、WWD Beautyなどがある。

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