禅の思想を持つジェームス・リー・バイヤース(宮沢香奈)

2019/04/19 06:02 更新


Medium  dsf2171

365日探求し続けている音楽や発作のように物欲に襲われるファッションと違い、アートへの欲求は時々、そして突然訪れる。アメリカ人現代アーティストのJames Lee Byarsの作品との出会いもそんな感じだった。前回紹介させてもらった「The Feuerle Collection」にも彼の作品が展示されており、ディレクターアシスタントの友人にそのことを伝えたら、KEWENIGでエキシビジョンが開催されていることを教えてもらい行くことに。

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65歳という若さでこの世を去ったバイヤースは1958年から67年の約10年間京都とNYを行き来しながら暮らしており、日本文化から多くの影響を受けている。特に、書道、茶道、能楽堂、禅仏教を探求しながら、自分とは馴染みのない日本の文化や哲学に深く関心を持っていたという。ミニマルな作風の中に和を感じさせるのはそう言った背景があるからである。

ベルリンで開催された『The Palace of Perfect』展は、主に1980年代以降の作品が展示されており、金の部屋、赤の部屋、黒の部屋、そして、至るところに置かれた円や球体がいろんなことを物語るエキシビジョンだった。

重厚なドアを開けた瞬間目の前に現れるのが、この巨大アンフォラの「The Spinning Oracle of Delfi」であり、同展で一番観たかった作品。呑み込まれそうなアンフォラの口から中を覗くと、ジェームスの作品のシンボルのようなサインのような小さな穴が空いているのが発見出来る。真っ赤な空間に錆びれた赤と金の物体、その上には金色に光るアンティークのシャンデリアという私にとっての”Perfect”がそこには存在した。

「The Spinning Oracle of Delfi」by James Lee Byars

他にも、赤いシルクのテントの中に17世紀に作られたアンティークチェアを置き、遊牧民の芸術家の家を表現した「The Chair of Transformation」はとても魅惑的でドキドキする作品、というより空間だった。私はとにかく赤が好きらしい。特に混ざり気のない直球ストレートな赤が無条件に好き。

「The Chair of Transformation」by James Lee Byars 
「The Chair of Transformation」by James Lee Byars 

バイヤースが20世紀を代表する現代アーティストということは後から知った。初めてのエキシビジョンがNYのMoMAと聞くだけでもすごいと分かるけれど、60年代に獲得した賞の数々、70年代からのヨーロッパ各地での展覧会、1997年にこの世を去ってからも彼の作品は世界各地で展示され、賞賛され、2014年には再度MoMAにて50点以上もの作品が展示される回顧展が開催された。

MoMAほどの広さでも全部は展示し切れないほどある、バイヤース作品にまたどこかでお目にかかれる日を楽しみにしている。


KEWENIGギャラリーは2013年のオープンであるが、近隣でも二番目に古い歴史的な建築物であり、重厚でエレガントな階段にポップで可愛らしいシャンデリアといった独創的な内装、作品が美しく映える展示方法、開放的な中庭など、非常に素晴らしいロケーションとなっている。是非ともベルリンへ訪れた際は足を運んで欲しい。

KEWENIG


Photo by : Kana Miyazawa(使用しているカメラ「XF10」)

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長野県生まれ。文化服装学院ファッションビジネス科卒業。

セレクトショップのプレス、ブランドディレクターなどを経たのち、フリーランスとしてPR事業をスタートさせる。ファッションと音楽の二本を柱に独自のスタイルで実績を積みながら、ライターとしても執筆活動を開始する。ヨーロッパのフェスやローカルカルチャーの取材を行うなど海外へと活動の幅を広げ、2014年には東京からベルリンへと拠点を移す。現在、多くの媒体にて連載を持ち、ベルリンをはじめとするヨーロッパ各地の現地情報を伝えている。主な媒体に、Qetic、VOGUE、men’sFUDGE、繊研新聞、WWD Beautyなどがある。

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