北瀬縫製 おしゃれ保冷バッグの「クルミ」が人気

2020/01/08 11:00 更新


 車の工具袋や救急袋など特殊縫製を手掛ける北瀬縫製(岐阜県関市、北瀬澄男代表)が販売する「クルミ」は、保冷バッグに特化したバッグブランドだ。可愛い見た目にプロ仕様の高い機能を兼ね備えて人気を集めている。

 クルミは生地に国産8号帆布を使い、定番の赤を中心にカラフルな色で彩る。合皮のハンドルと金色の金具で華やかな雰囲気に仕上げている。

 特殊縫製のノウハウを生かしたプロ仕様の機能が強みだ。表地の帆布と撥水(はっすい)コーティングした内布の間に3層の断熱材を入れた。厚みがあり、内部に空気の層ができやすく、外気温の影響を受けにくい。開閉は面ファスナーとスナップボタンで、ハンドルを左右に軽く引っ張ると簡単に開く。

保冷バッグに見えない可愛いデザイン

 経済産業省の「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業」(ものづくり補助金)に採択され、自動車シートなど厚手の物を縫えるコンピューター制御ミシンとレーザーカッターを導入し、専用の生産ラインを一つ設けた。物作りは北瀬代表の娘で、商品開発部長の鈴木恵さんが担当する。生産能力は月に200個。

 昨年7月下旬から9月下旬までの2カ月間、東急ハンズ新宿店で期間限定販売した。市場では1000円以下の保冷バッグが多い中、3980円で48個作ったバッグが46個売れた。トライアルだったが、好感触を得た。

 昨年11月、ブランドサイトも立ち上げた。現在はコンセプトや商品の紹介だけだが、近々サイトでの販売も目指す。スポーツシーンで使う保冷バッグも試作中だ。

 北瀬縫製は元々、紳士服や婦人服の縫製を担ってきた。生産地が海外に移転し、加工賃が下落を始めた80年代ごろにゴルフバッグカバーにシフトし、その後、現在の特殊縫製にたどり着いた。

 保冷バッグの生産は、地元で開かれる「関にし秋の祭典」に出品したのがきっかけ。一般的な保冷バッグは、銀色のシートが前面に出ていたり、地味な色使いが多い。「いかにものデザインで格好悪い」(鈴木商品開発部長)と思っていたこともあり、試しに30個作ったところ、「可愛いのにしっかりした作り」とほぼ完売した。リピートの要望が多く、18年11月にブランド化した。

鈴木商品開発部長(左)と夫の鈴木誠工場長


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