総合加工のきものブレイン 「絹生活研究所」を立ち上げ

2018/07/27 06:26 更新


 総合加工のきものブレイン(新潟県十日町市、岡元松男社長)は、15年から取り組んできた「無菌人工給餌周年養蚕システム」による繭の生産で、一般的な白繭の約1.6倍のセリシンを含む「みどり繭」の量産化に成功した。中小企業庁が推進する戦略的基盤技術高度化支援事業の補助を受けた取り組み。みどり繭を使ったライフスタイルブランド「絹生活研究所」(長島孝行東京農業大学農学部教授監修)を立ち上げ、8月下旬から販売を開始する。

【関連記事】シルク高騰 中国で需給バランス崩れ 最終製品に影響

 セリシンは近年、未利用のたんぱく資源として注目され、大学・研究機関で研究が進んでいる。保湿や抗酸化、紫外線防御、治未病(生活習慣病予防)の効果が期待されるが、絹糸生産では取り除かれていた。この成分を生かし、コスメ、ファブリック、サプリの3カテゴリーを展開する。化粧水や美容液(5000~8000円)、石けん(1800~2500円)、今治タオル(1500~1万3800円)肌着や靴下を開発し、サプリは19年発売予定。

 「シルクから始まるストーリーを重視し、健康になり美しくなる文化=コトを発信したい」と岡元社長。呉服専門店と協業し、「機能性シルクショップ」としてインショップ形式で販売する。同社のネット通販、コレド日本橋の「きもの工房まつや」、十日町市で今夏開催される「大地の芸術祭」の拠点会場「キナーレ」を起点に、全国100店に拡大する計画。異業種への展開も視野に入れる。

 同社は業界で初めてアフターケアを事業化し、ビフォア加工、縫製、和装品の製造・販売など業容を広げてきた。15年には十日町地域の「シルク産業・文化都市」を目指す「きもの文化村」構想を始動。絹糸生産はその一環で、現在は年間10トンの生産能力を持ち、約3トンまで実現している。グローバル市場を目指し、将来的には100トンに増産する考え。

カテゴリーミックスによるインショップ展開で絹の価値を発信


この記事に関連する記事