大手芸能事務所アミューズのグループ会社でアパレル事業などを手掛ける希船工房(東京)は、デザイナーブランドのインキュベーション事業をスタートした。「アヤーム」などレディス中心に8ブランドを扱う。ブランドによってサポートする領域は異なるが、要望に応じてサンプル貸し出しなどのプレス業務、販路開拓の営業活動、ブランドの成長に向けたアドバイスなどを行う。
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中でもアヤーム、「インプロセス」「ミドラ」「スリウム」の4ブランドは、東京・代官山のアタッシュドプレスのエスティームプレス内に希船のショールームスペースを借りてサンプルを置き、スタイリストやバイヤーに対応する。
「デザイナーがクリエイション以外の業務に悩まずにすむようにしたい」と川守英昭執行役員アパレル事業部本部長。資金面もデザイナービジネスの課題だが、「例えば『それは本来これくらいの金額でできるはず』と助言するとか、デザイナーから望まれることは色々な角度からフォローしたい」考えだ。
物作り、クリエイションはあくまでブランド側の領分とするが、「新規で取り扱ってもらうにはこういう商品が必要なのでは、といった提案は行う」。インプロセスは得意な技術を改めて打ち出し、台湾など海外との商談につながったという。
希船とブランドの取り組みは1年間を基本とし、「ロキト」「ノントーキョー」「エルザ・ウィンクラー」「リウル」もサポートしている。「1年後にブランドの入れ替わりや、より深く取り組むブランドもあるだろう。意志のあるブランドが世に出るきっかけを作りたい」
同社はアミューズ(出資比率60%)とルールパートナーズ(40%)が15年に設立。川守氏は希船傘下の「ミュベール」「アグリス」の代表も務めていたが3月に退任し、本腰を入れて「インキュベーション事業を会社の幹にしたい」。そこから従来にない発想のビジネスが生まれることも期待する。アミューズの芸能関係のコンテンツや人との協業なども引き続き行う。