第33回ヨーロッパ文化遺産の日に合わせ、仏ケリンググループとその傘下のバレンシアガが、夏に移転した左岸セーブル通り40番地の新本社を一般初公開した。
ヨーロッパ文化遺産の日は、欧州14カ国の普段は入ることのできない歴史的建造物を2日間だけ見学できる。ケリングは旧オピタル(病院)ラエネックを、建物の原型を損なわず忠実に、またフランスのグリーンビルディングの基準であるHQEに基づき、本社として改装した。
この建物は1634年、カトリックのホスピスとして設立。聴診器を発明したルネ・ラエネック医師の名前を取り、1878~2000年まで病院として機能した。ルイ13世下に建てられた美しいチャペルは、歴史的建造物に指定されている。
フランソワアンリ・ピノー同グループ会長兼CEOは、同文化遺産の日のために、新本社の歴史に呼応した特別展を企画した。チャペルで開催された展覧会「エコー」では、聖なるものをテーマに、ピノーコレクションから現代アートの傑作6点を展示。
そしてチャペルから続く十字架をかたどる建物のバレンシアガ新本社では、同メゾンのアーカイブから創設者クリストバル・バレンシアガのスペイン時代(1930~37年)とパリ時代(1937~68年)の27モデル、67年作のウェディングドレスも併せて公開された。(パリ=松井孝予通信員)