京王百貨店新宿店は、2階婦人服ゾーンのキャリア向け平場「ハーモニー」を全面刷新し、9月14日にオープンする。働く女性を対象に88年から自主編集売り場として運営してきたが、顧客の高齢化やセール偏重など課題が浮き彫りになっていた。今回の改装で、30~40代の働く「おしゃれ子育てママ」にターゲットを再設定し、顧客像に合わせて売り場、商品を再編する。
【関連記事】働く女性向けワンピ「アユワ」 ママが伊勢丹店頭に
全面刷新に踏み切ったのは、第一に導入から20年超が経過して元々の顧客ターゲットとズレが生じていたため。30~40代が主力顧客の2階で、40代以下の比率はフロア全体の平均値と比べて10ポイント、NB、セレクトショップに比べて20~25ポイント低く、顧客の高齢化が著しかった。大幅な若返りが急務だった。
第二に正価(プロパー)販売比率が低下して収益が悪化していたため。セールに頼らないで、プロパーの構成比を10ポイント以上引き上げることは避けられない課題だった。
新・ハーモニーは新宿駅西口周辺で働く女性をターゲットとして継続しながらも、30~40代の働くママを重点に置いた。売り場面積の7割を編集ゾーン、3割を自主企画商品で構成する。オフィス、オフ、ドレスアップといったシーン別の装いを提案する。
編集ゾーンは周辺の都心商業施設、大手セレクトショップが扱う旬のブランドを導入。「セントジェームス」「スリードッツ」「ウールリッチ」「ラグ&ボーン」「MSGM」など有力ブランドのほか、「クラネ」「エイトン」「アストラット」のモード系など国内外の計22ブランドを新規投入する。
これまでの主力扱いブランド「ファスサンファール」は継続する。ジーンズコーナーなど一部を除いてほぼ全量買い取りとなる。
自主企画商品は従来のプライスラインを据え置きながら、感度を高める。秋冬の平均単価は1万2000円で、一部で1万円を割る戦略商品を加えて原価率を高める。生産はクロスプラスなどと組んで、NBに比べて2~3割低く設定する。
着やすく、シンプルなデザインでありながら、袖などディテール変化で新定番を目指す。これまではシーズンで150型を企画していたが100型に絞る。一方で、奥行きを広げて数量で1.5倍に増やす。働く女性の定番アイテムであるセットアップは9月に5素材、13型を投入。パンツでは3レングス企画で、66~72センチの3センチピッチ、ノータック、ツータックテーパードなど3型を揃える。
同売り場の売り上げは改装前と比べて10%増を見込んでいる。売り場面積は改装前とほぼ同じ約140平方㍍で、販売員は18人配置し、接客サービスを拡充する。同店では各フロアの対象顧客に合わせて化粧品、雑貨を導入し、それぞれのフロアで買い回りできるように全館改装を進めている。
2階は今春、キャリア向けセレクトショップやNBを再編したほか、化粧品、美容雑貨の「アインズ&トルペ」をフロア中央に導入した。客層の拡大に向けた戦略フロアの一つに位置づける。