寝具用などの不織布を製造する加藤綿行(愛知県豊橋市)はこのほど、超薄型ウール中わたを開発した。アパレル向けなどの用途に新たな中わた商品として提案している。
1平方メートル当たり50グラムという、「かつて市販されたことがない」(同社)超薄型・低目付のウール100%中わた素材だ。超薄地を安定化させる方法として表面にごく少量の樹脂を吹き付けている。
ウール中わたはアウトドアやカジュアル向けなどでいくつか開発されてきたが、薄地にする技術のほか重さや偏りなどの課題があり、100%ウールの中わたの市販はごく少数にとどまっている。
同社は布団など寝具用を中心に綿やウールのシート、カードを製造している。超薄地の産業用フィルターを製造してきたノウハウを生かし、一般的なカード機での機械調整を繰り返して開発した。産業用フィルターはポリエステルなど化学繊維がほとんどで、天然繊維わたの薄地化は初めての試み。
超薄地にしたことでウール本来の適度な絡みによって偏りを無くし、安定した中わた素材となっている。使用しているウールは自主基準を設けて臭いがなく清浄度も高い「ファイングレード」基準のウール。工場段階で環境基準「エコテックス100」も取得していることも合わせ、ファイングレードウール使用による高品質とサステイナブル(持続可能な)性を訴える。
同社ではアパレル用途の中わただけでなく、消臭効果を狙ったキルティング加工枕カバー向けなど、「ウールの機能性を発揮できる多様な商品化を進めたい」としている。
なおロットは2種類のサイズ幅によるベール単位で販売を予定。幅広いユーザーからの聞き取りを踏まえ、ロスが少なく使いやすい幅として、1300、1700ミリのサイズで販売を予定している。