山岡寛泳氏が手掛ける「KANEI」(カネイ)は仏パリでのファッションショー挑戦支援プロジェクト(東京都主催)に選抜され、今年1月末のメンズ・ファッションウィーク期間中にショーに参加した。「近い将来、海外市場に挑戦したい」と意欲的だ。
【関連記事】東京都「FDAT」が25年度報告イベント 3月に原宿で合同展を開催
生地開発にも挑む
山岡氏は24年に文化服装学院を卒業すると同時に、東京都主催のコンクール「ネクスト・ファッション・デザイナー・オブ・トーキョー」(NFDT)特別選抜賞を受賞した。25年秋冬物からカネイをスタートした。ブランドのコンセプトは旅人のコンパスのように、着る人の人生の道しるべになるような服。毎シーズン、テーマに沿ったグラフィックを自分で描き、職人のクラフトマンシップによって表現することが強みだ。25年10月には国内外で活躍できるデザイナーを育成するプロジェクト「ファッション・デザイナーズ・アクセラレーター・トーキョー」(FDAT)にも選ばれた。
26年秋冬物ではファーストシーズンで好評だったインターシャによるボタンの花柄のセーターをモヘア混のカーディガンにアップデートした。テーラードジャケットでも花柄を刺繍した。その刺繍の糸をあえて長く垂らしたままにすることで、歩いたときに揺れる様子がアクセントになるようにした。
27年春夏物では、初めて生地開発に挑んだ。「誰もいない早朝の湖」をテーマに、オーガニックコットンの素材にランダムに刺繍した生地を岐阜の工場で作った。伝統的な技法のクロスステッチによって「こぶしの花」をモチーフに表現した生地のジャケットやパンツを企画した。
花柄は長袖の開襟シャツにもワンポイントで刺繍を使っている。ビンテージのパターンを生かしたフレンチワークジャケットにもデザインアクセントとして山岡氏自身が描いたイラストを刺繍している。さらにそのイラストをオリジナルワッペンとして付けた麻混のスウェットパーカやパンツ、MA-1などもある。また、ハンドステッチの刺し子をグラフィカルなデザインとして落とし込んだジャケットなどを提案する。


来春夏から卸先拡大
これまで卸先は地方の個店、3店だったが、27年春夏物の展示会では新規バイヤーも来場し、卸先が数店増える見込みだ。今年6月には岐阜県主催のスタートアップ事業加速化補助金にも採択された。
東京と生まれ故郷の岐阜県との2拠点生活をすることで、「工場との信頼関係が深まり、コストダウンにもつながり商品の精度も向上する」と次の段階へ進む準備が整いつつある。
