政府系金融機関の日本政策金融公庫(日本公庫)は小規模事業者を対象に、第3者による事業承継の支援を強化し、成果を上げている。後継者不在などの小規模事業者と事業譲り受け希望者を引き合わせる「事業承継マッチング支援」はコロナ禍もあり、申し込み登録、引き合わせ件数が繊維・ファッション業界も含めて大幅に増えている。「貴重な経営資源の喪失を防ぐために、事業承継は喫緊の課題。第3者承継に取り組みやすくする機運を醸成していきたい」(立見大作国民生活事業本部事業承継支援室事業承継企画グループグループリーダー)という。
(有井学)
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日本公庫のシンクタンク機関、日本公庫総合研究所の調査・試算によると、19年で中小企業約359万社のうち、廃業予定企業と後継者未定企業は約75%、約268万社あった。そのうち、廃業予定企業の56.4%、後継者未定企業の20.3%が年商3億円以下で、従業員数19人以下の「小規模」事業者だった。20年以降、コロナ禍で、小規模事業者を中心に廃業予定・後継者未定企業はさらに増えていると見られる。黒字にもかかわらず、廃業したり、廃業を予定する企業も多く、事業承継は繊維・ファッション業界も含め、大きな課題だ。