JCペニーとニーマンマーカス 債務返済を見送り

2020/04/21 06:26 更新


 【サンフランシスコ=立野啓子通信員】新型肺炎の影響によるロックダウンにより、米国で1カ月近く店舗閉鎖が続く中、百貨店のニーマンマーカスは先週末が期限だった債務返済を見送った。百貨店のJCペニーも先週、社債利払いを見送った。JCペニーは37億ドル、ニーマンマーカスは47億ドルの債務を抱える。再建には時間と資金が必要で、米連邦破産法11条の適用申請の準備段階に入ったと推測する現地報道も多い。

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 ニーマンマーカスは13年のレバレッジド・バイアウト(買収先の資産及びキャッシュフローなどを担保に資金を調達して実施する買収)による債務が大きく、JCペニーは経営の失策による減収赤字が12年度から8年間続くことが大きな原因となっている。

 JCペニーは、債権者への利払い1200万ドルを見送った。今後、30日間の支払い猶予期間が過ぎると正式に債務不履行となる。同社は11年にアップル・ストア出身のロン・ジョンソン氏をCEO(最高経営責任者)に起用。当時ディスカウントで売るのが通常だった店に、正価で売る「新しい価格体系」の理想を強行したが顧客が離反し、それが要因となって減収大幅赤字、大量解雇が始まった。ジョンソン氏は17カ月で解雇され、新たにCEOとしてホームデポ出身のマービン・エリソン氏が就任し、軌道修正とリストラを試みたが復調せず、18年にはジョアン・ストアーズ出身のジル・ソルタウ氏がCEOに就任した。

 最盛期の07年度は売上高199億ドルで店舗数は1033店だったが、19年度は売上高107億ドルで、2億6800万ドルの最終赤字、店舗数も846店に減少した。

 小売業を取り巻く環境が大きく変化し、競合の激化を背景に業績が回復しない中、新型肺炎の影響による店舗閉鎖が財務状況をさらに悪化させた。

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