JBKS、進化を続ける日本のニット技術

2016/12/07 06:00 更新


 国内で最大のニット展示商談会「ジャパン・ベスト・ニット・セレクション2016」(JBKS)が6日、東京国際フォーラムで始まった。オープンと同時に多くのバイヤーが来場し活発な商談が行われた。9回目となる今回は66社・団体が、個性ある製品や生地を提案している。7日まで。

 開幕式で佐藤正樹実行委員長は「市場環境が大きく変わり、メーカーも進化を求められている。生き残りをかけて進化しているメーカーがJBKSには出展している」とあいさつした。

 続いて経済産業省製造産業局の糟谷敏秀局長は「日本の製造業は、良い物を作るだけでなく、ソリューションやサービスを一緒に提供し、付加価値を高めることが求められている。ここまで生き残った企業には反転できるチャンスがある」とエールを送った。

■高橋ニット

 高橋ニット(新潟)は、ニットに布帛の裏地を配したコートや袖などにリブニットを組み合わせたMA‐1など、熟練の技が必要な異素材ドッキングのアウターが来場者の目を引いた。

 一押しは、プレーティング編みの身頃に、厚みのあるネオプレンをアクセントに利かせたブルゾン。身頃のプレーティング編みは、表目と裏目を無作為に切り替え、粗びき杢のような表情を作った。

 

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高橋ニット

 

■フェリアインターナショナル

 フェリアインターナショナル(東京)は、特殊な千鳥ミシンで丸編みの生地を突き合わせて縫うTPS縫製を使用した、ワンピースやコートを打ち出した。縫い代がフラットなため、一枚仕立てでも着心地がよく、シルエットをきれいに表現できる。

 生地を何枚も切り替えた立体的なフレアラインも、縫い代の重みがない分、軽やかな仕上がり。自社にデザイナーとパタンナーを抱え、リバーシブルコートなどTPSの特性を生かした製品仕様の提案が可能だ。

 

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フェリアインターナショナル

 

■テルタデザインラボ

 テルタデザインラボ(東京都)は、昨年に続きレディスのワンマイルウェアやストールなどを出している。シンプルなデザインを良質なカシミヤで見せている。ストールは26単糸を10 ゲージ で編み、ざっくりとした感じに仕上げている。

 アルパカ製のブランケットはファスナーを付けて羽織れるようにしている。ストールとブランケットは墨田区内の皮革メーカーと協業で作った小物とセットで提案。ライフスタイルショップからの注文を想定している。。 

 

テルタデザインラボ1
テルタデザインラボ

■和歌山ニット工業組合

 和歌山ニット工業組合は、同地域のニット産地の概況紹介と産地ブランドをアピールするため初出展した。和歌山産地は、丸編み生産で国内第1位のほか、横編み、縫製、染色などが揃うニットの総合産地。ブースには初出展となる6社が得意技術を生かした素材を提案した。

 オカザキニットは10番単糸5本を引き揃えた天じく、10 ゲージ の裏毛付きスウェット、リネン100%の編み地など自社のノウハウを分かりやすく見せた。 

 

和歌山県ニット工業組合1
和歌山ニット工業組合

 

■ニットオカザキ

 ニットオカザキ(山形)は、主力の無縫製編み機「ホールガーメント」で、引き返し編みのサーキュラースカートを提案した。

 インレイ編みの技術を使い、ツイード調の柄を細かく切り替えて構成。布帛だと、柄を切り替える分だけ縫製の手間がかかるが、ホールガーメントであれば、ウエストゴムの縫製だけで完成する。縫い代がないため、厚地でもごわつかず、着用した時に動きに合わせてきれいに波打つ。

 

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ニットオカザキ

 

■石川染工

 石川染工(山形)は、国内では3カ所しかできないファー加工を中心に見せた。「若いデザイナーを中心に、加工による表現の多様性を知ってもらいたい」と考え初出展した。ブースの全面には異なる加工をしたカシミヤセーターを展示している。

 一つはファー加工、もう一つは柔軟剤を使わないで仕上げカシミヤ本来の風合いが分かる製品を置いている。同じ素材でも加工によって、大きな違いが出ることを知ってもらうためだ。また、山形県の山辺地区には、「産地機能が残り高度な物作りができることをアピールしたかった」としている。

 

石川染工1
石川染工


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