伊藤忠商事、女性活躍推進計画の3カ年目標達成へ 生産性と両立で

2023/03/08 06:30 更新


10年から社内託児所を設置して多様な働き方を支援

 伊藤忠商事は、女性活躍推進法等に基づく一般事業主行動計画(21年4月~24年3月)の目標を達成する見込みだ。

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 計画では女性の割合を、採用した労働者の25%、全労働者の25%、管理職の9%に設定した。男性社員の育児休業取得率は50%以上だ。一方、労働生産性は10年度比で現在、5.2倍(連結純利益÷単体従業員数で算出)に高まった。多様な人材と働き方で個々の能力発揮を最大化する「厳しくとも働きがいのある会社」への取り組みが進んだ。

 女性1人当たりの出生率は、05年度の0.6から、21年度には1.97まで向上した。全国平均の1.3、東京都の1.08と比較してかなり高い。しかし、「当初、出生率は目標に設定していなかった」(的場佳子執行役員人事・総務部長)。全社的な働き方改革のなかで21年10月に取締役会の諮問委員会として「女性活躍推進委員会」を立ち上げた際、社内のデータを集約することで出生率の変化が明らかになったという。

 企業の持続的発展に向けて「組織としての多様化が不可欠」との認識の下、04年に「人材多様化推進計画」を策定し、業界に先駆けて女性総合職の拡大や法令を上回る制度を整備してきた。しかし、「理想に向けて数値目標達成だけを目指すと、女性社員の一律的な人員配置などで弊害を生み、離職率が高まった」。また、働きやすい制度の拡充だけを追求することで、生産性が下がる現象も生まれた。これを受けて、岡藤正広代表取締役会長CEO(最高経営責任者)が10年4月に社長に就任した直後に、働き方改革の方針を「社員全員の労働生産性向上」に転換した。朝型勤務や社内託児所の設置などで企業風土の変化が促進、そのなかで女性の働く環境整備も進展した。



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