農業を軸にした取り組みで、ファッション業界に新たな動きを生み出そうとする企業がある。イロエンターテインメント(東京)は、今年4月設立の新会社。社長の色川裕哉氏は、バッグOEM(相手先ブランドによる生産)のキュー(東京)の社員として、同社が運営する高感度層向けの八百屋、代官山青果店を成功に導いた人物だ。前職で得た農業の知識や、ディレクション力を強みに、ファッション業界に「楽しくてエシカル(倫理的)」な商品やイベントを提案する。
(高塩夏彦)
ファッション×農業
色川氏が農業の世界に足を踏み入れたきっかけはコロナ禍だった。当時勤務していたキューのOEMの仕事は激減。途方に暮れる自分と同様、知り合いの農家が卸先を失って困っているという話も入ってきた。
「なんとかしたいと思った時に浮かんだのが、ファッション業界のクリエイター主導で作る八百屋というアイデアだった」(色川社長)と振り返る。