《どう作るどう売る》アクセサリー アイリスのデザイナー渡邉真理さん、藤田侑子さん ボタンの表情とパーツの相性を考えて

2022/09/02 06:27 更新


渡邉さん(左)と藤田さん

 ボタンメーカーのアイリスは、自社で所有するボタンアーカイブをアップサイクルしたアクセサリーブランド「カラネア」を立ち上げた。「時代背景の影響で淘汰(とうた)されてしまったボタンに新たな価値を」と社内のボタンデザイナー、ボタン作り職人の5人によるチームが企画した。

 創業以来、世界のアパレルに向けて多様なデザインのボタンを製造してきました。特にファッション全盛の80~90年代のボタンは豪華絢爛(けんらん)で装飾性が高いものが多いのですが、今では潮流も変わり、作る技術を持った職人も減少しています。

 そんな希少なアーカイブをファッションの主役としてよみがえらせようと立ち上げたのがカラネアです。技術を再可視化、継承し、環境負荷をかけない物作りに挑戦する狙いもあります。

 ボタンはその機能性から、表に穴が空いていたり裏にボタン足がついていたりします。それをアクセサリーへと変身させるとき、ボタンの表情とアクセサリーパーツとの相性が重要になります。

 「ピアス?イヤリング?それとも?」といったように、このボタンは何が最適で、どう組み立てれば一番美しい表情に導けるのかを常に考えています。ボタンが良く見える角度は、そのためにはパーツをどう溶接するか、どの位置にピアスの針を立てるか。

 わずか数㌢という限られた形状、空間の中で、一つひとつの個性をより引き立てるデザインを構築することが、工夫のしどころ。試行錯誤の末にボタンの個性が最も引き立ったとき、さらにその先に身に着けた人の笑顔が想像できたときがやりがいです。

 今後は今の時代が求めるエコ素材を活用したハイブリッドな商品展開も進めていく予定です。より多くの人にボタンの魅力を伝えていきたい。



この記事に関連する記事