工場ブランドのIKIJI(墨田区)、海外市場の開拓進む

2017/08/21 04:25 更新


 東京・墨田の専業メーカー5社によるファクトリーブランド「IKIJI」(イキジ)が海外販売を伸ばしている。海外の合同展示会に継続出展し、欧米販路を開拓。OEM(相手先ブランドによる生産)の受注拡大につながるなど、本業にも好影響をもたらしている。18年春夏からパリのショールームと契約し、拡販へ勢いをつける。

(橋口侑佳)

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 イキジは11年にスタートした。メンバーは、カットソーの精巧、横編みのテルタデザインラボ、網ニット、革小物の二宮五郎商店、布帛シャツのウィンスロップ。国内外の有力ブランドのOEMを担ってきた専業メーカーがそれぞれ強みの商品を持ち寄り、トータルブランドを展開する。

 ブランディングは博報堂、デザインは欧州市場に明るいデザイナーに委託。〝和のモダン化〟をコンセプトに、江戸の文化や下町の粋に着想を得たデザインを現代のライフスタイルに合わせて提案する。

 国内で直営店を開設するなど着実に認知度を高める一方、「市場を広げたい」と3年前から伊ピッティ・イマージネ・ウオモ、仏トラノイ、米リバティー・ニューヨークなど海外の合同展に出展してきた。「ブランドコンセプトを落とし込んだデザインと品質の高さ」が評価され、英国、仏、米国の専門店やセレクトショップなどへ販売実績を積み上げている。

 合同展ではメーカーであることも積極的にアピールし、イキジをきっかけにOEMの受注を獲得するケースも出てきた。合同展で得たバイヤーやデザイナーからのフィードバックは、デザインや物作りに積極的に反映。商品開発の蓄積は、イキジだけでなく、OEMの提案力向上にもつながっている。

 当面は、ピッティ・ウオモ、リバティー・ニューヨークへの出展とパリのショールームを起点に卸し先の拡大を目指す。米国EC市場を見据え、ECサイトも視野にいれる。

 18年春夏は〝ウェーブ〟がテーマ。船が漕ぎ出す様子を浮世絵の木版画に書き起こし、ジャケットやパンツ、ニットにプリントやジャカードでのせた。革小物は、昼と夜の海をイメージした革に、網代模様の型押しを施した。6月のピッティ・ウオモでは、板前服のディテールを取り入れたシャツやインディゴ染めの柔道着風コートも人気だった。



18年春夏は海の碧と波の白の融合とコントラストをイキジが考える粋の精神に見立てた





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