繊維原料卸の堀商店 廃棄合繊を有効活用

2018/08/28 06:25 更新


 繊維原料卸の堀商店(愛知県豊橋市、堀能之社長)は、合繊メーカーなどから出る規格外や廃棄用の繊維原料を仕入れて販売するほか、再利用しやすいように加工した原料も供給し、業容を拡大している。

 廃棄される繊維原料の有効活用や、別の付加価値を生み出すアップサイクル向けへの転用などが環境配慮の面から注目されているが、そのサプライチェーン構築を支える企業として存在感を発揮している。「長年にわたる仕入れ先と販売先との取引関係が、繊維原料の2次流通での信頼性を担保している。今後も信頼関係を基礎にして必要とされる繊維原料の再販売を進めたい」(堀社長)としている。

 同社は1919年(大正8年)に創業した繊維原料卸。当初の絹や綿の残り原料の扱いから、合繊産業の成長に伴ってポリエステルやナイロン、ポリプロピレンなど合繊原料の規格外商品の仕入れ、再利用ルートへの販売で事業を拡大した。

 合繊産業の成熟化を受けて業容は縮小したが、合繊原料を加工しての販売や台湾などでの事業展開などに取り組んでいる。

 機能素材や炭素繊維、生分解原料など合繊メーカーの生産する原料は多様化している。また規格スペックも厳しくなり、各段階からの規格外原料が多く産出されるようになった。これを受けて同社では、2次加工原料を必要とする先に向けた加工設備を増強した。一つは反毛(はんもう)設備。原料の選別からトウカット、エア飛ばしによる調合、カード生産、パッキングまでの一貫で行える工程を整備。1日当たりの生産能力を30トンまで拡大した。また延伸と熱によるクリンプ加工の設備も導入。自動車内装材などの資材向け用途に対応している。加工原料の占める比率は40%となっている。

 一方で仕入れ先とユーザーのグローバル展開に伴って、台湾や韓国など海外での合繊原料の仕入れと加工、販売を増やしている。この結果、扱い量の90%が国内、10%が海外となった。

反毛など加工した原料も販売
合繊メーカーから集めた多様な規格外原料


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