日本の逸品を世界に――旅行業大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が、日本ブランドの海外進出支援に乗り出している。レストランや食品などの飲食分野をサポートしてきたが、オーガニックタオルブランド「ヒポポタマス」を販売するHPS(東京)と業務提携し、ハワイや台湾での販売を始める。
(金谷早紀子)
旅行業の競争が激化するなか、HISの海外60カ国・地域113都市162拠点(4月末現在)のネットワークを違う形で生かせないかと考え、コロナ禍前から動き出した。これまでに北海道発のホットケーキ店「椿サロン」の台湾進出や、萩村製茶(三重)の抹茶の中近東、欧州への販売などを支援してきた。
ライフスタイル、ファッション分野ではHIS海外法人の一部で、アウトドアブランド「ロゴス」や西松屋チェーンのPBを販売しているが、ヒポポタマスとの業務提携はより踏み込んだもの。海外市場での戦略立案から現地での販促活動、販売代理店として人材登用も含めた商品販売業務などをHISが請け負う。ハワイでは今夏、ラグジュアリーホテルのザ・カハラ・ホテル&リゾートなどの客室にヒポポタマスのタオルやバスローブを導入、VIP向けプールサイドでのタオル利用やブティックでの販売を予定している。アラモアナショッピングセンターのHISの店舗内でも商品を販売。ハワイ限定デザインの商品も企画販売する。台湾は、ホテルのW台北や蔦屋書店、新光三越での販売のほか、高級百貨店での期間限定店とECでの販売を予定している。
ヒポポタマスは鮮やかなカラーリングが特徴で、繊維製品の安全性を証明する国際規格「エコテックススタンダード100クラス1」の認証を取得している。「環境と人に配慮したコンセプトが提携の決め手」という。タオルは有名ブランドのシェアが高いため、現地のアーティストやスポーツイベントとの協業などでプロモーションする。今後もホテルや百貨店とのネットワークの強さを生かし、提携ブランドを増やす考え。