日本皮革研究所(東京都)は、クロムなめし革で生成する可能性が指摘されていた六価クロムの抑制技術を開発した。世界的に珍しい技術で、特許を出願中だ。今後は、抑制剤を業務用薬剤として販売、なめし加工での利用を促し、製品段階での後加工についても研究を進める計画。
皮革のなめしには、タンニンとクロムによる手法があるが、合理性などの面でクロムなめしが圧倒的に主流だ。クロムなめし剤に使う三価クロムは安定した化合物で、人体に無害なためでもある。ただ、クロムなめし革は高温焼却などの際に、毒性の高い六価クロムに変わる可能性も指摘されていた。そのため、安全を期し、その課題を解消したいという要望も皮革業界内にはあった。
こうした中で、同研究所は3年前、三価クロムから六価クロムを生成させない方法の開発に着手した。ラジカル補助剤、還元剤、複合体形成剤を独自に混合し、三価クロムと反応させ、常温でも過熱後にも六価クロムを生成しないことに成功したという。