90年代後半から00年代にかけて、本紙にストリートスナップの記事をたびたび掲載していました。30年近く前の、都会の一瞬を切り取っただけの記事ではありますが、その背景を店や企業に取材し、ときには売り上げなどの数字も入れていて、当時の商売の動きも少しわかります。“平成リバイバル”など様々なレトロが注目を集めている昨今、改めて読み返すことで、ビジネスに通じるヒントが見えてくるかもしれません。ベテラン記者が振り返ります。
※本文は読みやすく直しています。社名やブランド名などは原文のまま掲載します。
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香港ヤング 東京ファッション大好き
2001年1月24日付

「香港のヤングは現地のデザイナーを受け入れてくれない。いつも日本のファッションばかり気にしてるんだ」と苦笑いする香港の若手デザイナー。貿易関係者も「若い人が一番興味を持っているのは日本のストリートスタイルなんです」と話す。彼らの言う通り、香港ヤングは日本のトレンドや雑誌に夢中だ。街で声を掛けると、「日本から来たの?」とニッコニコ。
女の子の着こなしはボーイズ系が多く、〝デコラちゃん〟を少しシンプルにしたようなスタイルも見かける。男の子はきれいめのスポーツカジュアル。女の子よりすっきりしていて、ちょっと甘く仕上げているのがおしゃれ。東京ストリートのメンズブームを思い出す。ヘアメイクや雑貨・小物にはそれほど力を入れていないが、それが香港ヤングの可愛さといったところだ。
日本のヤングブランドを多く扱っていることで知られるセレクトショップitにはカップルや友達同士で買い物に来たヤングがいっぱい。「アズノゥアズ」や「ファイナルフォーム」が並び、店内に流れるのはサザン・オールスターズなど日本のヒット曲。ストリートでも「オゾック」などのショッピングバッグを見かける。
日本の雑誌は屋台やショッピングセンターの本屋で売られていて、何が好き?と聞いて返ってくる答えは圧倒的に『ノンノ』。ほかに『スプリング』『キューティ』『JJ』。日本語がわからなくてもまったく問題ないようだ。OLには最近格安で発売されている日本へのショッピングツアーが人気とか。
《記者メモ》
どこに行ってもスナップ取材をしていました。これは01~02年秋冬香港ファッションウィークに出張した際の記事。街で「写真撮らせて」と声を掛けていました。今は情勢も変わりました。
(赤間りか)
