【パリ=小笠原拓郎】18~19年秋冬オートクチュールコレクションは、期間中に正式スケジュールで34ブランドがショーを予定しているほか、オフスケジュールでプレゼンテーションを開催するブランドも多い。その中身は玉石混交なのだが、プレタポルテ期間中のタイトな日程を避けるため、この時期にプレタポルテを発表するブランドもある。この間、ニューヨークをベースにしていた数ブランドが参加してきたが、今回の日程に名を連ねていないのが気になるところだ。
◆ノスタルジーとハードコア=ヴェットモン
クチュール期間中にプレタポルテを発表するブランドもある。その代表がヴェットモン。ハート型のクッキーのインビテーションが届けられた。環状道路の高架下に、白いテーブルクロスを引いたランウェーを作って観客を出迎えた。
そこに登場したのは、ストリートのムードを色濃くしたハードコアとレトロなムードのスタイル。タトゥーのようなプリントのジャージートップから始まり、メッセージを寄せ書きした白いシャツ、ビッグシルエットのスウェットパーカ。ボトムは、デニムとトラックパンツをかけ合わせたり、コーデュロイとデニムをはぎ合わせたり。ハードな中に細かなディテールのパンツを揃えている。
ハードコアなムードを加えるのは長くとがったスタッズスニーカーやコンバットブーツ。特殊部隊がかぶるような覆面とカムフラージュのコンバットスーツの合わせのほか、レザーのトレンチコートやビッグシルエットのジャケットにも不気味な黒いマスクをかぶる。そこにジョージアやロシア、アメリカなどの国旗をかたどったスポーツパーカが登場すると、どこか不穏なナショナリズムの冷たい空気が漂ってくる。
ドレスはさまざまなプリントにボディーの中心から放射状にプリーツを入れたデザイン。ハートのクッキーとともにドレスからはノスタルジックなムードが漂うのだが、宗教や国家といった重苦しさも感じる。
(写真=catwalking.com)