八芳園社長 井上義則さん 人生の通過儀礼をつかさどる企業に

2024/04/12 12:30 更新有料会員限定


井上義則さん

 23年に創業80周年を迎えた八芳園。「東京の結婚式場」から、既存事業の枠組みにとらわれない〝総合プロデュース企業〟へと舵(かじ)を切った。400年以上の歴史のある広大な日本庭園を有する東京・白金台の八芳園(本館)を交流文化創造の拠点とし、宴会、レストランの企画・運営、MICE(会議、研修旅行、国際会議、イベントなどの総称)事業の推進、社会貢献・地域活動を目的に、協業などによる商品企画・イベントプロデュースなど多彩な事業を行う。子会社3社を設立、各地の自治体と連携し、地方の特色を生かしたプロデュース事業にも乗り出した。デジタルを駆使したイベントプロデュースはもとより、人不足などの社会課題にも挑戦している。25年には本館を改装し、「交流文化創造」に磨きをかける。

本物の価値を伝え循環させる

 ――ブライダル業界を取り巻く環境は。

 23年の人口動態統計を見ると、出生数は過去最少の75万8631人と8年連続で減少し、婚姻数は48万9281組と戦後初めて50万組を割りました。これはブライダル業界にとって、深刻な問題を投げかけています。

 八芳園は昨年の創業80周年を機に、ブライダル事業だけにとどまらずに総合プロデュース企業として、「交流文化創造」という新たな市場創造に舵を切りました。80年という歴史の中で培ってきた「ワンストッププロデュース」を強みに、文化や芸術、産業やビジネス、言語や教育、そしてすべての国や地域を越え、あらゆる分野の文化創造に取り組みます。観光産業を基軸に、交流文化創造という軸を掛け合わせた成長戦略です。その一つとして、全国の自治体に向けたブライダルプロデュースプロジェクトを始動しました。

 ――内容は。

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