北海道帯広市の中心市街地に「藤丸パーク」が7月6日にオープンする。23年1月に閉店した百貨店、藤丸を建て替えて再生するプロジェクトが進んでおり、30年の完成までの間、エリアのにぎわいをつなぎ、機運を高める役割を担う。
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再生に向けて設立された藤丸の村松一樹社長は「街の顔、ランドマークを廃虚にしないという思いで進めている」とした。地域からの協賛を得ており、ディスプレーのスペース(東京)が関わり藤丸パークを具体化、さらにCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)グループも参画して建て替えを目指す。
藤丸パークは藤丸の建屋の近接地3300平方メートルを整備した広場で、トレーラー型の店舗のほかイベントスペースやテラス、ドッグランを備える。「藤丸サポーター」を組織して集めた3億円の協賛金で建設した。藤丸は「藤丸ショップ」として食物販と雑貨、食器、コスメなど生活用品の二つの売り場を構え、新たな藤丸のコンセプト〝上質でうれしい十勝に出逢(であ)える〟という品揃えの実験場としても活用する。その他の三つは公募した飲食店が入る。冬季(12~3月)は閉業するが、開業時には物産展から地元クリエイターのマルシェ、ビアガーデン、ライブ、ダンスの発表会など多様なイベントを開き、にぎわいにつなげる。
スペースが設計にとどまらず、ブランディングを支援、プロジェクトを総合的にサポートしており、佐々木靖浩社長は「地域活性化は中期計画の目標として強化している」とし、地方百貨店の再生事業に深くかかわることになった。CCCグループは藤丸パークの「Vポイントカード」導入を皮切りに、データベースを使ったマーケティングで建て替えのプランニングに伴走する。帯広は農業を中心とした産業基盤が整い、所得水準、人口動態とも他の地方都市に比べ優位性があるとされる。そうした条件を生かして中心市街地で進んだ商業の空洞化を反転させることを目指す。建屋の建て直しには資金面の課題が大きいが、解体は補助金などが活用できる見通しとしており、「夏の終わりには着工できる」(村松社長)という。