富士フイルムが革対応のインクジェット技術 高耐久性

2017/08/07 04:29 更新


「UVIQUE」(ユビーク)技術で革・合皮分野を開拓

 富士フイルムは、皮革や合皮に使えるインクジェット技術「UVIQUE」(ユビーク)を開発した。従来のUV(紫外線)インクにはない柔軟性や耐久性を持つ新開発インクと、これを安定的に吐出するインクジェットヘッドやプリンターを組み合わせたシステムを提供する。

 ユビークは、富士フイルム独自の素材設計技術や処方技術、画像形成技術を応用し、UV硬化ポリマー配合の新開発インクを使って、基材に強固で薄いインク膜を形成する。密着が強く柔軟性のあるインク膜によって、革・合皮といった基材の質感を損なわず、従来のUVインクの約5倍の耐久性を持たせた。

 ヤマハ発動機が今年9月に発売する原付スクーター「ビーノXC50D」20周年記念モデルの純正シートの加飾で、同技術が採用された。表現力に加え、耐候性や延伸性が評価されたためだ。従来は着色した塩ビシートを使用した単色の表現のみだったが、「多彩な意匠が可能になり、車体全体のデザイン性に貢献した」(ヤマハ)という。

 同社は二輪車シート以外にも、かばんや靴などのファッション用品、スポーツ用品、インテリア、自動車内装材といった皮革・合皮を使用する幅広い用途に広げるほか、加飾フィルムを使う樹脂成形分野にも展開する。

 同社のインクジェット事業は、米ディマティクスのヘッド技術、英子会社のインク技術と、同社が長年培ってきた画像処理技術や化学合成技術を組み合わせ、開発に取り組んでいる。今年1月にはインクジェット事業部を新設し、グループ一貫の機能を生かしながらテキスタイルやパッケージといった分野でのビジネス創出を進める。



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