岐阜大学発のベンチャー企業、ファイバークレーズ(岐阜市)は、多孔質繊維「クレーズ・テックス」をベースにした機能性繊維の販売開始に向け、展示会出展に力を入れている。
(小坂麻里子)
【関連記事】《トップに聞く》ファイバークレーズ社長 長曽我部竣也氏 多孔質繊維で社会課題解決
クレーズ・テックスは繊維にナノサイズの穴を開け、様々な成分を含浸することで防蚊、冷感、保湿などの機能を付与できる。岐阜大学で生まれた技術を活用し、研究開発を進めてきた。9月から生産を開始し、冷感機能のクレーズ・テックスは来年春の販売を予定している。そのため認知度向上、販路開拓に加え、市場のニーズをマーケティングする目的で展示会出展を強化している。
展示会で特に引き合いが強いのは冷感機能のクレーズ・テックス。同繊維はメントールを含浸させ、熱を加えて穴に閉じ込める技術で揮発性をコントロールするため持続性が強み。「接触冷感のポリエチレンに代わる新素材として興味を持たれている」(長曽我部竣也社長)と手応えをつかむ。猛暑が続く日本のほか、高温多湿の東南アジア圏での販売を狙う。
サステイナビリティーの観点から海外ブランドとの話し込みも進めている。クレーズ・テックスの無数の小さな穴を生かした常温常圧染色を開発中。通常のポリエステルの染色に比べ水や二酸化炭素を低減できるとして、環境意識の高い欧州のハイブランドに訴求している。
発売時期は未定だが、保湿機能のクレーズ・テックスは医療や化粧品業界からニーズが高い。アトピー性皮膚炎に有用性が認められている成分を含浸させた繊維や肌の潤いを保つ美容成分を含有させた繊維として打ち出す。
11月の北陸ヤーンフェアにも出展する。クレーズ・テックスの機能性を大々的にアピールし、「北陸のサプライヤーと物作りのパートナー企業として連携を深めたい」と期待を寄せる。
