【ファッションとサステイナビリティー】ステークホルダーに聞く 新たな産業の近代化 アベイル社長 小谷理実氏

2019/12/08 00:00 更新


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小谷社長

デジタル化で無駄の排除を

サプライチェーン維持は工場との信頼関係作り

 長年アパレル生産現場のシステムを作ってきましたが、効率化や見える化などで評価されており、スタンダードなシステムだと自負しています。アパレルメーカーと縫製工場双方とお付き合いしていますが、サプライチェーンというなら、アパレルは工場を大切に考えた方がいい。信頼関係を強固にする必要があると思っています。

 現状では工場に対する発注や契約、CSR(企業の社会的責任)が他業界に比べるとあいまいで、両者の信頼関係を阻害している。将来を考えるなら、アパレルはデジタル化で収益性を上げ、その収益を工場にも配分する。そうしたことが求められているのではないでしょうか。 海外のアパレルは、生産から店頭まで一気通貫ですが、日本の弱さは分業だということ。さらに、互いに信頼関係を持っていないのが問題です。時間がかかれば、日本の物作りは死に絶えるか、アパレルも創造的なものができなくなるのではと心配しています。

 当社は、商品のブランドタグやECサイトに貼り付けたQRコードからアクセスできる専用ウェブサイトで、洗濯表示や素材などの各種商品情報、コーディネート画像などを低コストで簡単に提供できるサービス「Ioタグ」を手掛けています。既存のタグを撤廃するのが目的ではなく、デジタル化でお客様へのサービスレベルを上げるのが第一義。紙のタグはお客様に役立っていますか。環境問題から見ても、ごみになるラベルは少しでも減らした方がいい。ICタグと連携させたら、ブランドネームさえ不要になるでしょう。

 大量に作るサンプルも問題です。2年前から始めた3DソリューションCAD(コンピューターによる設計)「ブラウズウェア」の特徴はデジタルを組み合わせたサンプル作りで、実際作るサンプルを絞り込みますから、コスト削減とスピード化につながります。我々も大手出身のパタンナーを何人も雇ってサービス提供もしています。これはECにも応用でき、将来的にはモデル撮影なども代替します。今後は何事もデジタル化を意識した経営が求められてくるでしょう。

 私としては、アパレルももう一度、物作りの原点に立ち返ってほしい。今はなかなか利益が出ないから投資にも消極的。新しいものへの挑戦を含めて前向きに取り組んでいかないと、生き残ることすら難しくなっていくのではないでしょうか。

(繊研新聞本紙19年12月4日付)

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