《ちょうどいいといいな ファッションビジネスの新たな芽》自分世代の感覚で需要を捉える

2023/06/28 06:26 更新


スニーカーが並ぶ東川口2号店

 近年のビジネスシーンの服装の変化に加え、コロナ禍で消費者の行動が変化し、クリーニング店は今、売上確保の施策が必要となっています。埼玉県で8店を運営する創業92年のクリーニングみわは、「みんなを笑顔にしたい」という精神を受け継ぎ、自分たちがいまできることを考え、サービスをアップデートしています。

いま求められること

 家業を見て育ってきた中村諭史さんは、21年に代表取締役社長に就任して事業を承継しました。30代の生活者としての目線を持って、ニーズの掘り起こしと新サービス開発を行なっています。その一つは「年間を通じて需要が見込める」スニーカーのクリーニング。6年ほど前に韓国へ視察に行き、スニーカーだけを手にクリーニング店を訪れる人々を見て驚くと同時に、日本での可能性を実感。機械洗いと、高級ブランドの革製スニーカー対応の手洗いのサービスも始めました。中村社長が初めて店舗リニューアルを手掛けた東川口2号店は、受付カウンターの背後にスニーカー棚を配置し、外看板でスニーカーの絵を表示してアピール。その効果もあって、8店舗の中で一番スニーカーの取り扱いが多いそうです。

 子育て世代でもあり、ベビーカーやチャイルドシートのクリーニングも打ち出しました。肌に直接触れる部分はオーガニック洗剤を使っていること、自社工場による最短1週間でお渡しできることも喜ばれ、近隣都県からも問い合せがあるそう。またお客様の利便性向上のため、デジタルツールなども積極的に活用しています。スマホアプリを導入し、会員証や預かり票の発行と、クーポンやお知らせの配信のほか、24時間受付や引き取りができるロッカーの設置を進めています。

ホームページやSNSでベビーカークリーニングサービスを発信。水洗いできると知らなかったという声も多いそう

従業員も地域の人も

 総勢60名ほどの従業員の中には、勤続15年以上のパートも多数存在します。「お客様はもちろん、従業員も大事な存在。気持ちよく働いてもらいたい」と中村社長。働きやすい環境作りを心がけます。スマホでも閲覧できる業務マニュアルを独自で製作。紙の資料よりも、知りたいことが調べやすく、情報の更新がスムーズで効率的だそう。

 また、従業員の声に耳を傾けて意見を採用し、責任ある仕事を任せてやりがいを感じてもらいます。昨年は、店頭スタッフに企画から運営までを任せて縁日やハロウィーンイベントを開催。家族連れなどで盛況で、景品を追加したほどでした。

店内にフォトスポットを設置。入店を促した

 こういった地域とのつながりや貢献活動の精神は、先代から受け継いだものです。20年からは、不要になった学生服を引き取り、クリーニングして学校に寄付する「クリボ」の活動を始め、1200点以上を寄付しました。「これから、古着や工場といった事業者向けのサービスも拡充していくことが目標の一つ」と中村社長。先代が築いてきた基盤と起業家精神を大切にしながら、同世代の社員が中心となり、自分達の目線で経営に向き合っています。

■おざわ・めぐみ

 デザイナーブランドを国内外で展開するアパレル企業に入社、主に新規事業開発の現場と経営で経験を積み、14年に独立、ベイビーアイラブユーを設立。アパレルブランドのウェブサイトやEC、SNSのコンサルティング、新規事業やイベントの企画立案を行っている。



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